声優科

2014年 08月 28日

【授業レポート】「鈴木康夫ゼミ」 開講!

DSC07629 OK_siyou.jpg 鈴木康夫講師は、声楽家(オペラ、宗教曲他)で、それと並行してヴォイストレーナーをされています。鈴木講師にトレーニングを受けた有名な方がたくさんいます。
映像テクノアカデミアの声優・俳優科でも、受講生に指導していただいています。

実は、映像テクノアカデミアの声優・俳優科受講生たちの中で、台詞や朗読で声がうまく出せない人がいます。
原因は、客観的に自分の身体の状態を把握できていない、そして呼吸の仕組みを理解していないから(鈴木講師談)。
発声の訓練とは、読んで字のごとく声を発するまでの訓練。
呼吸の在り様を身体に沁み込ませ、遂には無意識に反応する身体を獲得することであるというポリシーのもと、鈴木康夫先生が受講生に対していろいろと感じていることを彼らに正直に話したところ、受講生から「きちんと集中的にボイストレーニングの訓練をしてみたい!」との声が上がりました。
それを受けて、新たに「短期講座」として開講したのがこの「鈴木康夫ゼミ」です。当初の予定以上に申込みが多くなり2クラスに分かれて講座が行われることになりました。これはその1日目の授業レポートです。

鈴木講師のトレーニングは身体の準備体操から始まりました。

DSC07624 OK_siyou.jpg 上下にジャンプして、何回目かに膝を弛め、だらーんと上体を脱力します。それからゆっくりと身体を起こします。
ブラブラした身体を上下する体操から、上半身をひねる運動へ。 臍の下にある丹田を中心にして左右に回転(腰を切る)させ、それに伴って脱力した腕が遠心力で体に巻きつくように...だんだんと受講生の身体が動き出してきます。
また、上下にジャンプして膝を弛めだらーんと上体を脱力してゆっくりと起こす。その際に骨盤と背骨を意識するようにと鈴木講師はおっしゃいました。
次に、下半身の動きは先程の回転運動と同じですが、今度は右腕と左腕をそれぞれ反対方向に下から振り上げるように交互に回すというものです。(写真参照)

受講生たちは、テンポのいい鈴木講師の指導で様々な運動(ストレッチ)を行います。
徐々に呼吸を意識しながら、息を吸って吐いての作業も付け加えられました。
準備体操が30分。これからは、この準備を授業が始まる前にやっておいてくださいとのことでした。
それから、2人1組になっての講座が始まりました。

DSC07666 OK_siyou.jpg まず1名が、床にフラットに寝てみます。膝を立てて、頭の下に少しだけ高くするものを敷いて、おでこと顎が並行になるようにします。これで床に身体を委ねた状況ができました。鼻で呼吸します。その形が出来たら、臍の脇の腹斜筋のあたりを触って筋肉の動きを確認するようにします。息を吐くための筋肉(呼気筋)だそうです。

その後、パートナーに「鳩尾(みぞおち)」の部分に軽く指を置いてもらいます。

これで、呼吸の仕組みを確認する準備ができました。


そこから、まず、スイカの種を飛ばすかのように息を「プッ!」と吐きます。(Pの子音のような感じ)
そのときに、鳩尾のところに反射があり指が軽く押し返されます(これは、吸気筋である横隔膜が息をコントロールしている動きだそうです)。
パートナーは鳩尾を触っているので手の感覚で実感できます。
次に、ティッシュペーパーを吹き飛ばすように息を吐きます。
続いて、「Fuuuu~」と長く息を吐くことをやってみます。
鳩尾に置いてある指は、少し長く張りを感じるようです。
今度は、溜息の様に「Fuuu~」と息を吐いてみます。
すると、さっきとは違う反応が指に感じられるそうです。
また、呼気の音も違います。
胸が落ち込んだ胸式呼吸の息(溜息)だそうです。
それが出来たら「S~」という
「S」の子音みたいなもの(無声子音...声帯は開いている)を吐き出します(これが声の素の息を感じる方法だそうです)。
次に、私には濁らせたように聞こえましたが「Z~」という子音(有声子音...声帯は閉じている)になりました! これで「振動音」が出ました。
そうして、徐々に口を開けて呼気によって生まれた「Z~」を口腔内通過させ「Za~」へ!
やっと、「a~」と云う母音になりました。
これが、息によって音声が作られる原理だそうです。

DSC07714 OK_siyou.jpg 「あいうえお、いうえおあ、・・・・・・おあいうえ」母音を回転させ、
続いて、実際の文章(例えば、トロッコとか蜘蛛の糸)を声に出してみます。

これを経て、背中が拡がった感覚を味わいながらゆっくりと横に回転し、うつ伏せに。そして背中の広さを意識しながら四つん這いになり、正座の状態に...坐骨の上に骨盤~背骨~頸~頭。
立膝からゆっくりと立ち上がり、今度は立った状態で、寝ていた時と同じ様にパートナーに鳩尾の場所指を置いてもらいます。
「P~Fu~Fu(溜息)~S~Z~Za」
そして、母音から文章へ!
その時も、呼吸筋がどう使われているか...自分の身体に教えてもらいます。

するとどうでしょう?みんなの声が、ドーンと前に出てきます!
まるで、ストラディバリウスのバイオリンのように。

未熟でもいいから身体の外側に解放していくことが大切だと言うことを鈴木講師はおしゃっていました。

この授業は基本2名1組で行います。この一連の方法が終わると、今度は別の人が横になって、もう1人がサポートし身体を作っていく作業を行います。

劇作家・鴻上尚史さんの著書「発声と身体のレッスン」にも同じような事が書かれているとのこと。
「セミスパイン」(アレクサンダー・テクニック)と言われる姿勢を利用して、呼吸の練習を特化したものだそうです。 興味のある方は、アレクサンダー・テクニックを検索してみて下さい(専門の先生がいます)。

このレッスンをして、身体をしっかりと意識できてから、鴻上さんの本を読むととても参考になるともおっしゃっていました。

この後、別のレッスンの準備が始まりました。
鈴木講師の別のメソッドについてのレッスン、身体を意識する方法についての授業が始まっています。

このように鈴木康夫ゼミでは、参加するみんなが自然な身体の状態を知り、呼吸を確認するところから始まります(私達は動物ですから生きて行く上で呼吸をしないわけには行きません。それは勿論、特別なことではないですね)。
知らず知らずの間に身体を意識しないままの生活を送っていると、自然な発声ということがこうした準備運動をやらないと出来なくなっているのかも知れません。現在の都市生活では声を出すことを意識しなくても生きていけるのかも知れません。でも、声を仕事にするためには、きちんと意識して発声することが必要になってくるのだなと納得しました。

身体を意識するのは、実際にこの授業のようにやってみると気持ちのいいものかも知れないなと、見ていて思いました。いままで、何となく暮らしていてついていた身体の癖を通常な身体に矯正する作業なのでしょうか?

DSC07686 OK_siyou.jpg 指をローソクに見立て消していく作業、そうして息を出す作業のバリエーションを行います。いろんなローソクが出てきます。大ローソク1本から5本まで、小さなローソク1本などなど。それを吹き消す作業をしながら自然と息を出す作業を行います。
その後、アクセントのついた息の出し方を10回繰り返します。続いて、別のアクセントのついた呼吸を行います。

こうした技術を習得してプロになっていくのだと鈴木講師は言います。
「感性と技術の両方があってプロだ!」という言葉にいたく納得。

その後、実際に声を出します。
裏声なども使って、実際の文章を声にだすところまで。

脳からの命令が息を吐くだけになっていたか、それとも声帯を刺激するような作業だったか?

ここで鈴木先生が質問します。
最初、吸おうとするとおなかが膨らんでいましたが、自然な時には、おなかが弛んで息を吸うのがわかるはずです。

横隔膜を一度ゆるませてから、再度適度に緊張させて発声することを、実際に意識することが出来たようでした。


どの筋肉を伴った呼吸で声を出しているのかがわかることによって、演技の幅が技術として理解できるようになるそうです。理解したことが自分の身体で自然と再生できるようになるまで、毎日トレーニングを重ねていけば、一般的に言われる「おなかから声を出せる」ようになり、それが出来るようになる(息がコントロールできる)。 それにより感情によって息が変化し、感情に伴った様々な声が自然に出せるようになる(感情は一つではない)という言葉に、大きな発見がありました。
このように発声の技術を意識できるようになって、演技の幅が拡がるのだと、演じるということの本質的なことをこの「発声」の授業を通じて知ることが出来ました。

一日目の授業の最後に、激しい筋トレのいくつかのパターンをやりました。
背筋と腹筋を鍛えて、ちゃんと運動をすることも大切なことだということが、よくわかりました。

「発声」とはスポーツでもある。
毎日これらのことをちゃんとやり続けられる人だけが大成する、という言葉に、アスリートも俳優も同じなのだなということが実感として伝わってきました。