映像・広告クリエイター科

2011年 11月 08日

『今だから、明日に向かってクリエイターの生トーク』レポートが追加されました。

夏季特別短期セミナー/『今だから、明日に向かってクリエイターの生トーク。』レポート


「今年の『夏のセミナー』どうしましょう?」
教務担当の古田中さんと山下が、夜、飲みながら話していました。
「何がやりたいの?」

3・11以降、広告業界も社会も大きく変化しました。
みんながそのことを経験し、何か自分たちも変わっていかなければという気持ちが大きく拡がりました。
ソーシャルメディアが感動を拡散し、その感動にココロ動かされて実際に行動する人たちがたくさんいるんだ!ということが分かりました。広告業界の人々も、自分たちに出来ることで何か貢献をしてみようという気持ちが拡がっていったように思います。

「3・11以降の広告やCMについて語ってもらいたい!」そんな気持ちを持って企画書を作り中島信也さんのところに相談に行きました。 中島信也さんも「うん、ええんちゃう。」 と言って震災後のキャンペーンなどについてのエピソードを話して頂きました。
中島さんは「CMで広告でみんなを元気にしたいなあ!」という気持ちをかんがみて、
「今だから、明日に向かってクリエイターの生トーク」
というタイトルを考えてくれました。
そして、 スマートフォンのツイッターのタイムラインを模したようなデザインのチラシが出来あがったのです。

広告界の様々な分野やメディアを超え、人と人をつなぐ新しいコミュニケーションを展開している方々をお呼びし、"クリエイティブなオーラを体験する5日間"、夏季特別短期セミナーを2011年8月16日~8月30日に開催することができました。

【第1夜】 8月16日 中島信也(東北新社/CMディレクター)×山本真希(東北新社/CMディレクター)

第1夜は、中島信也さんと山本真希さんの 東北新社CMディレクター対談。

お盆の終盤にもかかわらず多くの参加者に恵まれ、 熱のある講義となりました。

キャリア30年になる中島信也取締役、キャリア数年の山本真希さんが、 実際にどのようにしてCMディレクターになり、現在どのようにしているのか? ということが対比的に語られ、 興味深い講義になりました。

中島信也取締役に、ファシリテーターの役割も果たしていただきながら 講義を進行していただき、 山本真希さんがそれに応え、ストレートに現在の仕事と心情を伝えてくれました。 その二人の掛け合いが真摯に伝わって来て、見るものを魅了しました。

今年は、業界以外の方も何人か参加があり、 幅広い層が見に来てくれました。

ツイッターでのイベント情報発信は 1日前と3時間前という金言を信じ(by津田大介) 、アカデミアのツイッターで発信したところ、 発信直後に数名の応募があるという経験をし、 ソーシャルメディアって凄いな!と感じました。

実際の講義は、中島信也さんが どのような生い立ちで、どうして業界に入ったのか? そして、今に至るのか?ということが良く分かる講義でした。

中島信也さんは、学生時代に進路を決めかねているとき、 周囲の人に勧められ、その方向に素直に進んで行ったら 今の自分があったと語っていました。 それは、見識のある大人たちが中島信也さんのことを良く見ており、適切な場所へ導いてくれるという才能が、中島信也さんにもともと あったのでしょう。 人の話を良く聞き素直に自分を出すという性格があったからこそ、 今の中島信也さんがあるのだと思いました。

一方山本真希さんは 、高校生の時から実際にコンピュータを使い、TVCMのようなものを作っており、 多摩美からストレートに自分の進みたい道に進んでいったということが 良く分かりました。
山本さんは、自分の信念に素直に従い、そのための編集や画像加工の技術を学生時代に学び、 自分でカメラを持ち、映像制作に関しては ほとんど全てのことが一人で出来てしまいます。
若手ディレクタ-なので、来る仕事は予算が厳しかったり スケジュールがタイトなものばかりです。 しかしながら、 そこにどうやって向き合い、自分なりの映像を作っていくのか? ということを、本当に楽しそうに語っていました。

プロフィールに書かれていた言葉 「寝るより食べるより映像が好き!」 という言葉はまさに彼女にぴったりの言葉だと思いました。
対談の時に中島信也さんが山本真希さんに向かって、 「君の仕事の仕方は森本千絵さんに似てるなあ!」 と言われたのは、最大の賛辞じゃないでしょうか?

二人の対比的なバイオグラフィーには 実は共通したことがあります。 きちんと人と向き合って、自分を素直に出しながら映像を作っていくこと。 そのことが、東北新社・企画演出部の伝統なのかも知れません。
たとえば、中島信也さんの現場は100名近くのスタッフが集まる場所であり、 いまの山本真希さんの現場は数名のスタッフが集まる場所であっても、 映像を作ることは同じで、その情熱の大きさも同じだと実感しました。
10年後、また、この二人の対談を映像テクノアカデミアでやりましょう! ということで1組目の講義は終わりました。

受講者の方から3・11以降のCM広告業界の変化についての質問があり、 実際に山本真希さんが震災後にやった活動や、 その後、現地にヴォランティアに行った話を伺い、 中島信也さんからは、震災直後の広告業界の対応などについて 率直な意見と、実際に起きたことについて 丁寧に答えていただきました。

多摩美時代にこのセミナーを聴講していた山本真希さんが、そのセミナーの講師として登場した記念すべき第1夜でもありました。

【第2夜】 8月19日 草川衛(ACジャパン専務理事)

19日の金曜日に来て頂いたのは ACジャパンの専務理事の草川衛さんでした。

草川さんからは、「公共広告は世界を救うだろうか」というタイトルで、 丁寧に誠実にACジャパンの現状と、予想されるであろう未来について語って頂きました。

3・11の大震災の後、全ての放送局が報道番組一色になりました。

3月14日から日本民間放送連盟は広告解禁を支持したのですが、 ほとんどの広告主は「自粛」の対応をとりました。 そこで大量に流されることになったのがACジャパンのCMでした。
今年は、そういう年だからこそ、 ACのことについて語ってもらおうと思い草川さんに来て頂きました。

オンエアー当初から 「エーシー♪」 のサウンドロゴばかりが 耳につくなどの意見があり、急遽サウンドロゴを外す改訂をしたり、 震災直後に新たなACの素材を作るべく 急いでその準備をした、 というようなリアリティのあるお話を伺うことが出来ました。

ACジャパンの前身である公共広告機構が発足したのは 1971年のことです。今年で丁度40年になります。 ACの成り立ちから仕組み、そして どのような種類のキャンペーンをしているのかを系統だって知ることが出来ました。

40年経つと4マス(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)だけの メディアではコミュニケーションが立ちいかなくなりつつある。 そしてこれからに向けて、WEBの利用やソーシャルメディアの利用を考えていかなければいけない時代となった。 というような話も伺うことが出来ました。

震災後、様々なACのCMが新たに作られて流されました。 みなさんもその頃に大量に流れた ACのCMを覚えていることと思います。 あの頃のわたしたちは、毎日テレビにかじりつき震災後の報道を注視していました。
ACにはそれらのCMを見た視聴者から 様々な意見が寄せられるそうです。 そしてクレームが来るものとそうではないものとがあるらしいと聞きました。
クレームが少ないのはドキュメント的な要素が大きいもの。 実際の事実や実際にあった映像を編集したものに関しては 生活者の方々に 受け入れられたそうです。この話には、広告がもっている根源的なものが含まれています。
広告表現とは基本的に「虚」なものである。 「虚」で描かれる世界が楽しかったり夢があったりするものであることも 一つの事実なのでしょう。 しかし「実」という現実が大きすぎる場合、 「虚」を描くことが空虚に見えてくるのではないか? というジレンマがある。 「虚」のフレームの中でも「正義の押しつけ」や「上からの説教」とならない 配慮を持って生活者に語りかけることがポイントです。

そして、ACジャパンの表現でとても重要なポイントは 「解決への指針が示せるもの」 ということ。どちらにも解釈できるものや、解釈を生活者にゆだねてしまうものは、現状ではなかなか難しいということをおっしゃっていました。 これは海外の公共広告との大きな違いでもあります。 海外では解決の指針を示さなくても、 問題を提起することの強さがあれば、それでいいということが実際にあります。

個人的に一番興味深かったのが、地域で実際に制作された最近のACのCMでした。
その中でも7月からのオンエアー予定が 1カ月遅れて8月となった東北地方の「復興を目指して:笑顔の花」というもの。
アーティストのキマグレンが 気仙沼の小学校に実際に行き、イベントを行った模様を撮影したドキュメントタッチのものでした。 広告の宿命とでも言える「虚」のフレームの中で「実」をどのように伝えていくのか? ということの困難がある。 このことを知り、制作していくことが 今後の公共広告のクリエイターに求められていく課題であると感じました。 「実」のなかの手法の一つとして ドキュメント的なるものというのがあるのでしょう。

そして最後に来年のACの大きなテーマのことを語られ、草川さんの講義は終了しました。
講義終了後の質問も、「生きる」という根源的なものに関する質問がいくつかありました。このことをきちんと考えるのが、これからの広告クリエイターの役割であるのだなと改めて感じました。

【第3夜】 8月23日 佐藤尚之(コミュニケーション・ディレクター)

第3夜の夏季特別短期セミナーは「さとなお」さんこと、佐藤尚之さん。

「新しいコミュニケーションのカタチとそのチカラ」と題して、 現在の「ソーシャルメディア」の状況と その未来に関してとてもわかりやすく語ってくれました。

その根本にはSIPS(共感する : Sympathize → 確認する : Identify → 参加する : Participate → 共有・拡散する : Share&Spread)という考え方があります。
2007年に佐藤尚之さんの講義を聞いた時には、 インターネット時代が到来して情報が圧倒的な量になった、 その情報をどのように制御していきながらコミュニケーションをしていくのか? ということがテーマでした。
昭和の広告の教科書などに書かれている AIDMAの法則からAISASへと変化しているということについて語っていただきました。 シェアということがその中で重要になってくると。 共感を分かち合うということでしょうか?

そして、4年後に再び来て頂いた今回のお話では、 ツイッターやフェイスブックとの連携によって新たな価値が創出されたことを、 さとなおさんは強調されていました。 それはタイムライン(時間軸)という概念がそこにある、ということです。
ツイッターなどは、タイムラインに沿って情報が流れてくるのを 見るので、その同時性みたいなことがとても重要になってきます。 例えば3・11の震災後に、都営地下鉄が運行を開始するという、 猪瀬直樹東京都副知事の「つぶやき」は、またたくまにリツイートが繰り返され 拡散していきました。 猪瀬さんを全くフォローしてなかった人も 他のフォロワーのリツイートで知ることが出来ました。 そのつぶやきはテレビの報道よりも30分以上も早く、 ツイッターのタイムラインの即時性を物語る貴重なエピソードとなりました。

さとなおさんは「さとなお.com」というブログを運営しており、1日3万人以上が訪れる人気サイトとなっています。
また、ツイッターのフォロワーは6万人以上で、 その影響力はかなりのものです。 というのは、彼が発信したものが次々と引用され、 リツイートされていき爆発的に拡がっていくということが可能だからなのです。
そのために一番大切なことは「共感」であると、さとなおさんは語ります。 「共感」なくして拡散なし。 猪瀬直樹の「地下鉄運行のつぶやき」もそうした意味で貴重な情報とみんなが思ったことで、 その「共感」がより拡散する結果となったのでしょう。 その「共感」をいかにして獲得していくか?というのが今後の大きな課題です。

単にそのブランドや商品が好きという人が、 ブランドや企業の永続的なコミュニケーションによって ますます好きになる。 さらに、好きになるとそれを誰かに勧めたくなる。そして最後には、そのブランドや商品を 積極的に推奨してくれる人になる、というプロセスの形成が生まれます。 その推奨者のことを「エバンジェリスト」 (evangelist: 福音伝道者、『特定の分野への 』熱烈な支持者)と呼ぶそうです。 アニメ映画「エバンゲリオン」はこの言葉から来たものですよね。

さとなおさんは自分はアップルコンピューターの「エバンジェリスト」である という例で説明してくれました。
例えば、今講義で使用している、最新のマックブックエアのことについて 「世界で再薄のこのデザイン!」などと、 アップルから頼まれもしないのに自らの気持ちで話し みんなに伝えていく。 そういう「エバンジェリスト」になってくれる人を何人育てるのか? というのが今後の新たなソーシャルメディア時代の マーケティング目標のひとつになるのでは? ということを語っておられました。
そのためには「エバンジェリスト」候補者との、長いおつきあいが必要になるだろう、と。 その結果、初めて「エバンジェリスト」が生まれてくるのでしょう。 そのために企業は生活者とのロングエンゲージメントという考え方をベースに、コミュニケーションをやり続けていかなければならないということを強調されていました。

昨年のカンヌ広告祭で受賞した 「ゲータレード」の「REPLAY」のキャンペーンを例に具体的に説明がありました。
往年のフットボールの引き分けになってそのままになっていた伝説の試合を、 あの時と同じメンバーが練習し集まって、30年ぶりに再試合を行うというイベントです。 メディアはこれをこぞって取り上げ、3万人入る試合の会場から 多くのつぶやきや発信がなされ、中継され、 米国中の話題になったそうです。
実は、ここで試合報告のTVCMを打つと、さらに拡がりが加速するらしいのです。 が、本件では予算の関係で打つことが出来なかった。 実は、試合終了後の、このタイミングでのTVCMは かなり効果的であり新たな「エバンジェリスト」候補者を 産むきっかけになるのです。とおっしゃっていました。
そして、この中高年へのエールのようなキャンペーンは、 これからも続けていく予定だそうです。 バスケット、野球、サッカー、そして音楽イベントまで、 時期に合わせての修正は必要かもしれませんが、 こうして長く続けていくことによって、 がんばる中高年に対して「ゲータレード」が応援しているよ! というメッセージは深く到達していくのでしょう。
こうして、長期に渡って生活者とコミュニケーションしていくものは これから、1企業や1商品だけではないような気がしました。
行政や自治体や学校なども、これから生活者に対して どうコミュニケーションしていくか?という方法がとても大切になるだろうと思いました。

講義の冒頭で、さとなおさんは、このようにもお話されていました。 オバマ大統領のコミュニケーションチームは250人います。 しかし日本の首相はゼロである。 あるきっかけから、さとなおさんの提案で鳩山元首相は 首相就任後、ツイッターを始めました。 また「鳩カフェ」などのイベントも行われたのも 覚えている方も多いかと思います。 今後の、さとなおさんの活躍が楽しみですね。

最後に、さとなおさんの名言をご紹介します。 これはフェイスブックの「Like!」(いいね!)ボタンの存在に対しての言葉です。 「情報は肯定される」 という前提に立っている。

【第4夜】 8月29日 東畑幸多(電通/クリエーティブ・ディレクター)

当初、予定されていた8月26日のスケジュールが変更となり 29日の講演となりました。

日程変更が決定してから、チラシの情報変更、 HPへの告知変更、ツイッターでのお知らせ、たび重なる告知を行い、 最後には最強の東畑さん自らのリツイートによって たくさんの方に来ていただくことが出来ました。 公演当日まで事務局に電話が鳴り、申し込みをしていただいた方々に感謝。 とともに、東畑さんの話が聞きたいからと、スケジュールを調整して頂いたみなさまの熱意が、東畑さんに伝わったのだと思います。


肌で感じたことは一生忘れない
東畑さんはそのことを、「JR九州新幹線全線開通」の キャンペーンのお話を通じて教えてくれました。
時代の寵児となっているクリエイタ―の東畑さんです。最近では、 サントリーボスの「ゼロの頂点」シリーズや、カップヌードルのガンダムが出てくるCMなどがオンエアされました。
東畑さんは、メディア状況の変化によって、 広告コミュニケーションは本当に人の気持ちを動かすものでないと、 ちゃんと効かなくなっているということをお話されました。 東畑さんは、 そこの部分をきちんと担保しようとしているから、 届くCM作りが出来ているのでしょう。
リクルートの山田さんという女性の就職活動を応援する、リクナビのCM。 そして、オトナグリコのキャンペーンでは、 大人になったサザエさんの「かつて子供だった」人たちを描いたCMなどを見ました。
後半は、あまりにも多くのことがありすぎて まだまとめ切れていないとおっしゃった、 「九州新幹線全線開通」のCMキャンペーンのたくさんのお話を伺いました。

最初ビデオコンテでプレゼンし、数チームの中から競合を勝ち取りました。 そこから、本当にこのCMは可能なのか? そして人の気持ちに届くものになるのか? 考えられるリスクを軽減するためにどのような方法が考えられるか? などなどの多くの課題を事前に検証し クリアして行かれたのでした。 まるで「プロジェクトX」を見ているような感覚。
品川から横浜間を走る新幹線などで 窓外の風景がどう見えるのか? ウェーブは可能なのか?などの検証を始めました。
様々な問題をクライアント、広告会社、そしてプロダクションが 一体となって考え続けたとおっしゃっていました。
その後、九州の実際の窓外の風景を撮影したりして、 それをもとにビデオコンテを制作。 ヴュー・ポイントとなる場所をきちんと許可を取り担保し、 さらにイベント会社と一緒になって最低の応援人員を担保しました。

しかし、結果から言えば、このリスクヘッジは嬉しい杞憂に終わったのでした。 九州のたくさんの人々が2月某日、新幹線の線路の脇に集まって 、趣向をこらしたパフォーマンスを行いました。 そして、仕込みで行われたカットと比べ、 実際の人たちのカットの方がはるかに魅力があるとおっしゃっていました。 編集ではそのより魅力的な映像をつなげていったそうです。

最初のオフライン編集では45分あったものを 泣く泣く3分までに短縮しました。 しかし、来てくれた出来るだけ多くの人に出てもらいたいと、 様々なヴァージョンを制作したそうです。 これだけの人数を集めるために 今年の冒頭から様々なメディアを使って 2月某日、七色に塗られた新幹線をみんなで応援しよう!という広報活動が行われました。 JR九州の全ての駅の媒体を利用し、 たくさんのタイプのTVCMを流しウェブでも連動が行われ、 撮影を迎えました。

この日は、九州の電通のほぼすべてのスタッフが現場に行きました。 ECDの古川裕也さんも東京からかけつけ、 ある駅で現場ディレクターとして陣頭指揮をとっていたそうです。 新幹線に乗車出来たのは東畑さんとADの大木さんだけだったそうです。
その当日のメイキングビデオを見せて頂きました。
それは、それはたくさんの人が関わり、 いったい何台のカメラが用意され、何人の関係者が集まったのだろう! という光景が続きました。 東畑さんが、最初、あまりその気がないような風だった制作会社のプロデューサーたちが、撮影が終わり、 編集が終わったときに、顔つきが全然違っていた、 何かをやり遂げた人たちの顔をしていた。 それは現場にいてそこでやり遂げたからこその顔であった。 という話をされました。 プロダクションカンパニーの人間としてとても感銘を受けました。
東畑さんから、 こうやって一緒に仕事をしたスタッフとは 一生の付き合いが出来るという言葉を聞き、 こういう人たちが集まったからこそ このプロジェクトが成功したのではないか、と 改めて感じさせてくれました。

【第5夜】 8月30日 白土謙二(電通/戦略執行役員)

夏季特別短期セミナー2011のトリを務めていただいたのは、 電通 戦略執行役員の白土謙二さんでした。

白土さんは1977年に電通入社。 シンガタの佐々木宏さん、東京芸大大学院教授の佐藤雅彦さんと同期です。 この年代の広告クリエイティブはとてもやんちゃだったことがわかります。

白土さんは、この「やんちゃ」さを今も持ち続けているな! と講義を聞いて思いました。
それはとてもクリエイティブであるということにもつながります。

いままでの常識を疑ってみる。 常識的な考え方と、そうではない考え方とを同時に考えてみる。 そういった訓練をすることによってアイデアを出すことが出来る。
例えば、佐藤雅彦さんは営業からクリエイティブに転局になった当初、 どのようにしてCMを作るべきか思案されていた時期があったと聞きました。 佐藤さんは資料室で過去の名作CMをたくさん見ます。 その中から佐藤さんは法則を発見していきました。 それは表現のスタイルです。 どのような表現のスタイルがあるのか? それをジャンル分けしてキーワードを作る。 それは何でもいい、と。
例えば「絵本」とか、「リズム」みたいなものでも構わない。 そのキーワードをたくさん書きだして そのキーワードをベースにアイデアの開発をするようにすれば、たくさんの企画が考えられるということを伺いました。

同じようなことをコピーライターの大先輩でもある秋山晶さんが おやりになっているということも聞きました。 秋山さんは自分のコピーを書くにあたって、 参考にしている人は村上春樹なんだそうです。
秋山さんは、村上春樹の文章が何故好きなのか? を分析します。そこから、秋山さんは村上春樹の文章は 「擬人法」が多いことに気づくそうです。 その「擬人法」ということを意識して秋山さんは 広告コピーを書くそうです。

これは佐藤さんがCMを見ていくつかの法則を発見するのと同様に、 秋山さんは好きな文体や文章の法則を発見して、 コピーを書く手助けにされているということです。 このように広告とは、ある法則を発見してアイデアを作り出していく作業である、 ということがパート1(前半)の主なお話でした。

パート2は、広告の未来について、どのように白土さんが考えているのか?ということを、 実際に行われた具体的な事例とともにお話をされました。

ある銀行の店舗の環境デザインを含めた トータルコーディネート、 またある商業地区のランドスケープデザインを含めたアイデアの提案、 そしてユニクロやセブンアンドアイなどを初めとした様々な企画提案の事例。
白土さんの提案は広告コピーやCMのの表現などの枠を大きく超えています。 企業の研究をし、そして、その企業が行おうとしているプロジェクトを研究し、「 このようにすればいいのでは?」という提案を率直に提案されています。
その時に白土さんは、電通の人間ではなく 、一生活者の視点から経営者に語られます。

このように数多くの経営者と話し合い、 本当の生活者視点のコミュニケーションはこうあるべきだということを、「やんちゃ」さを含めて提案し続けている方なのでした。
白土さんはいつ企画を考えるのですか?という質問に、「午前0時から2時までの2時間です。その2時間で考えつかないときは翌日朝6時に起きて再度考えます。 昼間はいろんなところに出歩い、 様々な表現物を見たり聞いたりしています」と。

白土さんが前々からおっしゃっている異ジャンルに学べ! を自ら実行されているのだと聞いて、 その「やんちゃ」を保ち続けていられる秘訣を伺ったような気になりました。

暑い夏の夜を吹き飛ばす年一回の特別セミナー。8年目の夏季特別短期セミナーも、おかげさまで多くの方々に来て頂き、盛況となりました。

今年は在校生やプロダクションカンパニーのみなさんだけでなく、広告会社や広告主、そして社会起業家やそれ以外のジャンル、200名以上の方々に参加していただくことが出来ました。
広告というものが「表現」するだけでなく、大きな「コミュニケーション」を主体としたものに変化しつつある、ということをそれぞれの講師の方にそれぞれの言葉で語って頂きました。

中島信也さん、山本真希さん、草川衛さん、佐藤尚之さん、東畑幸多さん、白土謙二さん。本当にありがとうございました。 講義後の、参加していただいた受講生のみなさまの熱気に満ちた顔が忘れられません!


【 『今だから、明日に向かってクリエイターの生トーク。』レポート 】映像編集や広告制作にご興味のあるみなさま
映像テクノアカデミアの映像・広告クリエイター科では、CMプランナーや映像編集のプロを目指す方のために、基礎から応用レベルまで現役のクリエイターが丁寧に指導いたします。また、東北新社グループでのアルバイトのご案内や、就職サポートも充実。実際の制作現場でCMプランナーや映像編集が学べます。