<a href="/graduate/">卒業生インタビュー</a> 浅野まゆみ

卒業生インタビュー

自分の短所は大事にした方がいい

浅野まゆみ

大沢事務所所属

プロフィール:1996年3月卒業。
映像テクノアカデミアを卒業後、ぷろだくしょんバオバブに所属。
 2006年11月より大沢事務所所属。
【主な作品】
外画:「CSI:科学捜査官」(サラ・サイドル)「ラッキー・ユー」(ビリー・オファー=ドリュー・バリモア)「バトルスター・ギャラクティカ」(ナンバー6=トリシア・ヘルファー)「Lの世界」(ターシャ・ウィリアムス=ローズ・ローリンズ)他多数
アニメ:「精霊の守り人」(トーヤ)「マーメイドメロディぴちぴちピッチ♪」(洞院リナ)「ラストエグザエル」(クラウス・ヴァルカ)「ニャニがニャンだーニャンダーかめん」(ニャンダー)他多数
CMナレーション 番組ナレーション VPナレーション 多数

今日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

今日のインタビューの質問は6項目ありまして、それを順番にお答え願います。

はい、分かりました。で、どんな質問ですか、一寸その用紙を見せてください。一番目の質問が......声優を目指したキッカケは?ですか。これは難しい質問ですね。だって、私、最初から声優を目指していなかったから。私は歌手になりたかったんですね。

それで歌の勉強をしていたんですが、ある人に今度新しく声優の学校が出来たから、そこに行って声優の勉強をしてみたら、と云われて、テクノアカデミアを紹介されたんですが、私の目指していたものが、声優じゃなかったから、うん?っと思っていたら、歌手ではご飯が食べられないけど、声優だったら食べられる様になれるかも知れないから......と云われて、それも一理あるかな、だけど歌は辞めないぞ、見たいな気持ちで、テクノアカデミアに来ました。

だけど正直いうとわからなかったんですね。"声優"って、職業が。小さい時からジャッキーチェンの吹替とか、アニメが好きだったから、その声をアテテる人が居るとか、そういうお仕事があるということは、なんとなく知っていましたが、声優という、声のお芝居をする職業があるという事を、この学校に来て初めて知りました。

そしてこの学校は、東北新社が作った学校なので、現場のディレクターが直接来てくれて、授業で、ここはこういう風にやったらどうかな、なんて教えてくれたんです。それで、2番目の質問の一番印象に残っている事は......は、そうねえ、......私、2人のディレクターに言われたんです。「君、男の子をやってみたら!」って。

そんな事言われても、私は女なのに......びっくりと、なんで?と思いました。その時、初めて気がついたんですよ。「ああ、男の子の声は殆ど、女の人がやっているんだ」って。と同時に面白いかも知れないと思ったんです。だって、男の子になれるなんて、面白いじゃないですか。

それから授業の中で、男の子の役を振って頂いて、見様見真似で演じたりしていると、自分として例えば「お母さん」とか「ママ」とかいうのを、男の子の感覚でいうと「かあちゃん!」というと、ちょっと衝撃的だったんです。そしてこれは面白い、と思ったんです。男の子をやってみる、演じるという事で、声優に興味を持ちました。だから、そこが声優になろうとしたキッカケだったかも知れません。

そして、今までに一番印象に残った作品?ですか。それはですね......えーと、これはいっぱいあるけど、......一番というのは難しいなあ......ドキドキしたのは、一番最初にマイク前に立った時ですね。それは、確か......「ルパン三世―DEAD OR ALIVE―」という劇場版でした。

私はリンゴを盗む少年の役で、セリフは一言「逃げろ!」でした。後は「ハア、ハア、ハア、」と息を入れるだけでしたけど、これは12年前の在学中でしたね。勿論、私にとってスタジオは初めてでしたし、絵が線画で、完成されてないのにアテた事が印象に残っているのと、もう一つ、私の初めて出た作品だったので、劇場まで観に行きましたよ。エンドロールに自分の名前が流れて来た時は......嬉しかったですね。

現場で苦労したことは?......これはですね、自分でいうのはなんですが、私は真面目で努力家だから、アハハハハ、この苦労というのがピンと来ないんですよ。私って、なんでも楽しくなっちゃうから、......うーん、ちょっと面倒くさい話なんですが、苦労と言えば、......セリフが相手に掛からなかったんです。

どうしてと思っていたら、あるディレクターが「距離感を掴むことがコツだよ」と言ってくれたんだけど、距離間て、単純にいうと今、隣にいる人との距離、間に人を挟んでいう距離、全員に向かっていう距離、響く所で、つまり反響のある場所で喋る距離、とか映像を見て、感じを掴むんだ、つまり遠くに掛ける物理的な距離とか、親しみの距離とか、......そういうことを言われた、と思ったんですね。

私が感じたのは、そういう距離間の前に、言葉が相手に当たっていかないんですよ。それで掛かるようになったな、と思ったのが、何年ぐらいか経ってからなんです。......分かります?分からないか......えーとね、新人さんが喋るセリフなんか、全部、人の頭の上を通り抜けて行くことが分かるんです。どんなに至近距離で喋っていても、セリフが掛からないんです。

で、以前は自分がそうだったなあ、相手にセリフが届いていなかったと思ったんです。これは声優さんばかりじゃないんです。役者さんでも掛からない人がいるんですよ。だけど、それがどうしてだか分からなかったんです。今は分かりますけどね。どうやってそれが分かるようになったかというと、多分、自分でお芝居の勉強をしたからだと思います。

いっぱい映画を観たり、沢山、舞台を観に行きましたね。私は悩みました。なにしろ誰も教えてくれなかったので。それである劇団の役者さんに聞いたら「うちの劇団にもセリフが掛からない役者はいっぱいいるよ」と言われて、ああ、お芝居をちゃんとやっている人達でも、難しいことなんだ、と思いました。

結論からいうと、"相手のいうセリフが聞けるかどうかが、芝居の全てだ"とある人が言っていましたが、舞台では相手に向かって言っているから、なんとなく掛かっているように思うけど、声優のお仕事は、画面に向かって言っているから、中々相手に届かないんです。

つまり、声優をやっているからこそ、こんな事が分かったのであって、普通にお芝居をやっていたら、分からなかったかも知れないんです。でもこれは芝居上、すごく大事なことなんですよ。私が一番苦労したのは、この事かな。要するに私はアテ上手にはなりたくないんです。アテる事は上手いんだけどなあ、なんて言われる様になったら、お終いだと思っていますから。

先輩の中にも、凄い人が居て、その人がセリフをいうと、スタジオの中の空気が変わるんです。別にセリフが良い訳ではないんですよ。ただマイク前でセリフを言っているだけなのに、舞台の空間になるんですよ。凄いなあ、と思うんですけど、ここが吹替の難しい所で、出来上がりを見ると、以外に映像にのっていない場合もあるんです。

それから、外画の吹替の場合は究極の物真似だと思うんですね。つまり、私たちは誰のセリフをアテているかというと、とてつもない才能を持って、凄い所で勉強して、色んな現場で揉まれて、頂点で活躍している女優さんをアテているわけですよね。ですから、自分を演じてやろうとか、そんな事は思わないんです。

物真似というと、なんか安っぽく聞こえるけど、テレビなんかで良く見る物真似をやる人は、結局、その人が好きなんですよ。好きだからこそ、その人の気持ちや、喋り方、動作まで真似が出来るんだと思います。早く言えば自分を隠して、その人に成りきっているんですね。謙虚なんですよ。

ですから、外画の吹替は究極の物真似だと思っています。と言ってもアテているのは私、自身なんですけどね。なんか難しい話になってしまったので、突然ですが別なエピソードなんですが、まだ新人の時です。外画の吹替で10時からだったので、9時半にスタジオに行ったんです。私はまだ新参者だったので、出演者の先輩達の顔も知らない。

ですから、いらっしゃった先輩たちにご挨拶はして、大人しく、自分の台本を読んでいたんですけど、ふと、見ると先輩たちの持っている台本の色が、私のと違う事に気がついたんです。私が持っていた台本が、赤い表紙で、他の人は何色だったかしら、とにかく違うんです。キャスト表を見ても誰が誰だか分からない。

向こうも浅野まゆみなんか知らないから、全員初対面なんですよ。おかしいなあと思いながらも、もしかしたら、私は新人だから、台本の色が違うのかな、なんて思って先輩たちの台本を横目でチラリと見たら、タイトルまで違うんです。そこからですよ、私はそのスタジオを飛び出し、タクシーに乗って、事情を説明したら運転手さんが、ルパン三世並に飛ばしてくれました。それで10分ぐらいの遅刻で、なんとかすみましたけど、その日は一日中、針のむしろでした。

その質問事項には乗っていないんですけど、もう一つお聞きしていいですか?

どうぞ。

浅野さんは普段、健康管理はどの様にしているのでしょうか?

健康に関してはそんなに気を使っていません。冬よりもむしろ夏に気をつけています。冷房は身体にあまり良くないので、特にスタジオの中は冷房が効いているため、長袖を持って行ったりしています。声に関しては、素人の方は、どんどん出すべきなんですよ。声は出せば出すほど良いんです。

まず、大声を出す。喉を労わったり、遠慮していると、小さい声しか出せなくなってしまうんですね。それをやっていると、声帯の周りの筋肉が鍛えられるんです。そして、プロになってからは、喉を労わったり、痛くなったら、すぐ病院に行ったり絶えず仕事に支障のないようにするのが、とても大事だと思います。

では次の質問に行きます。

あ、これですね。将来の目標は?ありません。

ないんですか?

ないですね。まあしいて言えば、来る仕事、来る仕事を一生懸命やることかな。「精霊の守人」という作品に出逢ったんですね。ほら、私たちの仕事って、外人さんにセリフをアテているじゃないですか。この作品では日本人として、セリフで喋れて、凄く嬉しかったんです。目標ではないんですが、ああいう作品にもう一度出逢いたいです。

それでは最後の質問です。

後輩たちに一言?

メッセージかアドバイスを......

そうですね、現場に出て色んな人と出会い、一緒に仕事をして、自分が長所だと思っていた事よりも、短所だと思っていた事を、褒めて貰った事があって、表現する時に、それがすごく魅力のある物かもしれないと、思ったのを未だに大事にしていて、だから、何かを教わる時に、自分を矯正するのではなくて、使えない癖は駄目だけど、自分の短所は大事にしたほうが良いと思います。

例えば自分の嫌な性格だったり、変な癖は、芸事をやる上では、大事なファクターに変わる可能性があるんですよ。だから、自分に嘘をつかない事、真っ直ぐ進む事が大事だと思います。頑張ってください。

今日は有難うございました。

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映像テクノアカデミアの声優科では、演技基礎や発声などの基礎を学び、さらに吹替やナレーション実習・舞台公演などの実践も経験できます。 声優養成所・俳優養成所として、業界をリードする総合映像プロダクション「東北新社グループ」の完全バックアップにより、在学中に東北新社制作作品に出演することもできます。卒業後もプロクラスでさらに学ぶことが可能です。