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【スタッフこぼれ話】こんな時代だからこそ、自分にこだわろう!

2011年4月25日 11:11

今日はアカ賢の番です

 

3月11日以降、騒然とした世の中の状態はなかなか収まりそうにもありません。この不安に満ちた騒がしさは、たぶんまだまだ続くのでしょう。

アカデミア受講生の皆さん、こんな時だからこそ普段よりも一層自分(のやるべきこと)にこだわれと、ぜひ言いたいと思います。それを言いたくて、今回は長々と書いてみます。

 

こんな騒然とした社会の雰囲気、私はいつかどこかで経験した記憶があります。

 

遥か遥かの大昔、今と似たような不安に満ちた、騒がしい世の中が続いたことがありました。団塊の世代が大騒ぎを繰り返した、1960年代の末から70年の初めにかけての時代です。あの時代も一寸先には何が起こるかわからず、社会は不安に満ち、人々は殺気立っておりました。テロリストは街の中に潜み、街頭で爆弾が破裂し、内ゲバと称してあちこちで人が殺され、なんとも言いようのないすさんだ世の中だったのです。

 

騒がしい世の中になると、よく思い出す一つのイメージがあります。

当時大学の教授などは学生から、象牙の塔の住民と馬鹿にされ、おちおち研究もできない大学がほとんどでした。でもこのケースは逆です。

デモ隊で埋め尽くされたとある大学の構内。学生が決して近づかなかった、深夜まで煌々と明かりのついた研究室がありました。デモなんかとは全く関係なく、ひたすら研究に没頭したある学者の研究室です。学生たちはその学者のひた向きで、高邁な姿から、研究室には近づかなかったと言われています。後年その研究成果は数々の漢字学や、「字訓」「字統」「字通」などの辞典に結実しました。学者の名前は白川静(しらかわ しずか)。

 

 

騒がしい時代には、自分がやらなければならないことが、おうおうにしてちっぽけで、役立たなく、つまらないことのように思われがちです。つまり自分(のやらなければならないこと)を忘れて、社会のことが一番大事だと思ってしまうのです。こう書いたからといって間違ってほしくはないのですが、騒がしい社会を忘れろ、と言っているのではありません、忘れないでとことん考えるべきです。にもかかわらずもっと大事なのは、自分(のやるべきこと)を忘れるな、ということでしょう。

 

騒乱の時代、白川静の姿は自分に閉じこもり、一見とても非社会的な姿に見えます。でも実際は、彼はどのように社会に影響を与え、貢献したか・・・・言うまでもなく、彼は自分(のやるべきこと)にこだわり、後年その結果が社会に役立ったのです。社会と関係を持つ、社会と切り結ぶとは、どうやら大変な回り道をしなければできないことなのかも知れません。そのためには、まず自分の立ち位置を考え、そこから出発すべきなのでしょう。

 

アカデミア受講生の皆さん、私たちはとつぜん途轍もない社会の中に置かれてしまいました。そんな社会の中で、皆さんは仕事に追われ、アルバイトに忙殺され、或いは被災地のことを考え、或いは放射能を心配せざるをえないご家族を持っているのかもしれません。

 

しかし少なくとも、皆さんがアカデミアに通えるというチャンスを持っており、そのチャンスを生かしたいと思っている限り、その機会にとことんこだわり、自分を磨いてください。あえて言うならば、こんな時代だからこそ、より一層自分を磨くことに集中してください。その結果が社会の中で輝くことを私は待ちたいと考えます。なぜならそれこそが本当に社会に影響を与え、貢献する一つの方法であると思うからです。

アカ賢(アカデミア賢人)

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