映像翻訳科

2015年 06月 23日

授業レポート:「最終回:吹替翻訳の授業の中身③」

とうとうやってきました。映像翻訳科 研修クラスの「アフレコ実習」の授業。

1週目、佐藤ディレクターによる「吹替ディレクターの視点から見た吹替翻訳」に始まり、
(原稿の書き方が分かった!と思った方も多いはず)
2週目、川又講師による「実習の課題の演習」、
(みんな尺合わせのしごき(?)を受けてましたね。でも楽しそうだった)
先週はその課題を提出。
そして3週目の今日、皆さんが先週提出した翻訳をもとにプロの声優さんが演技をする、という3回連続の授業です。

今日 お手伝いいただくのは笹岡雄介さんと乃神亜衣子さん。お二人ともアカデミアの声優・俳優科の卒業生で、現在はプロの声優として活躍中。



声優2名のプロフィール

sasaoka.JPG
笹岡雄介さん
所属:フリー

【主な出演作品】
グッドラック・チャーリー(スペンサー・ウォルシュ役)
恋するメゾン。~Rainbow Rose~(ミンス役)
スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団(スティーブン役)
ネバー・バックダウン2(マイク役)
レバレッジ~詐欺師たちの流儀
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乃神亜衣子さん
所属:(株)プロダクション・エース

【主な出演作品】
「ギルモア・ガールズ」(ミッツィ役)
「THE O・C」(アビゲイル役)
「THE EVENT」(イザベル役)
「クリミナルマインド」
「メンタリスト」


今日の講師は1週目に講義をしてくれた佐藤ディレクター。
みんなは佐藤ディレクターが講義した通りの書式や記号の使い方に則った原稿を上げてきたのだろうか?ちょっと心配。

TODAY'S MENU
①声優さんがマイク前で演じる
②それを録画する
③佐藤ディレクターが原稿を見ながら、注意すべき点をコメント
④③の注意点を踏まえて、録画された映像を流して確認

授業はこんな感じで淡々と進んでいきます。それでも全員分をやると結構時間がかかります。

プロの声優さんは、1文字ぐらい長くてもうまくセリフの尺に合わせてくれたり、足りないとちょっとゆっくり演じてくれたりします。でも今日は、なるべく合わない箇所はそのまま演じてもらうようにしています。と言っても、そこはプロ。指摘されないと分からないぐらいうまくカバーしてくれています。

同じ映像とスクリプトを使っての翻訳だが、上がってくる翻訳はさまざま。
声優さんはうまいなあ。みんなの未熟な原稿を、うま~く画に合わせて演じてくれます。

授業終了後、笹岡さんと乃神さんに「同じ原稿を何度も演じるのって大変ではないですか?」と聞いたところ、「基本は同じで、ちょっとずつ違う原稿読むのは大変でした。」という答えが返ってきました。

佐藤ディレクターからのコメントは容赦ない。でも優しい心遣いは忘れてない。
1人の原稿に、こんなに細かく、ディレクターからコメントをもらえることなんて、プロの翻訳者でもない。(というか、そんなにいろいろ言われたら、プロとしてはやっていけない)

「1文字長い」「ちょっとセリフが足りない」なんてコメントは序の口。
「息」の部分の処理の仕方や、原稿の書き方、原文と日本語の差。同時に話すセリフに必要な記号のこと。スペースを空ける箇所と行を変えるべき箇所。
ひとりひとりの原稿を確認しながら、本当にいろいろなコメントをしてくれる。翻訳者から出るコメントとは違う視点からのアドバイスもあり、大変参考になる。

皆、怖いほど真剣。
全員分の原稿を配ってあるので、自分の番も他人の番も関係なく、一所懸命原稿に書き込んでいる。

全員分が終了すると、質問タイム。皆さん活発に質問していました。

吹替の翻訳者は今、不足しています。皆さん、この経験を生かし、ぜひプロの翻訳者になってください。

以下、受講者の感想です。感想を送ってくださった受講生の皆さん、ありがとうございます。

・プロの声優さんが読んだとたん、原稿に命が吹き込まれたようで感動しました。同時に、実際に読んで頂くことで、口の動きと台詞を合わせることの大切さや、登場人物の動きと台詞を合わせることの大切さなど、改めて感じました。とても貴重な経験になりました。

・とても感激しました!目の前で声優さんが自分の書いた原稿をこれから読むんだ・・・と思うと、とても緊張しました(もうすでに提出して印刷されてるから変えようがないのに)。
実際に読んでいただくと、自分で読んでいた時とは全然違って、作ったセリフの印象がすごく変わりました。きっと発声の仕方が違うし、そりゃ自分とは比べものにならないことはわかりますが、読む人でこんなに変わるものなのかと衝撃でした。
またもっとセリフを入れることができたな、逆に短いなとか、語順を入れ変えた方がいいんだななどいろんな発見がありました。授業がとても楽しかったです。

・すごく衝撃的でした。声優さんが演じ始めた瞬間、いつもテレビやDVDから聞こえてきてたものが、目の前で実際に聞こえてきました。 どのように収録しているのかや、声優さんの実際の声を聞けて、日常で知ることのない裏側を見ることが出来、とても貴重な体験でした。

・これまでは、観客の視点から翻訳を練っていたように思いますが、今後は声優さんが読んだらどうなるのか?ということも念頭において訳すことができそうです。

IMG_1573.JPG ・実際に自分の台本をプロの方に演じていただき、台詞の載った映像を見ることで、自分の作った台詞が生きいきとしてくるように感じ、感動しました。また、収録現場に立ち会うことで、雰囲気を肌で感じ、台詞や台本の書き方など工夫すべきポイントを掴むことが出来たので、とても勉強になりました。

・自分の台本が声優さんの技で、「台詞」から生きた「ことば」になる瞬間を見ることができてとても楽しかったです。個人的なことなんですが、私は少し台詞を短めにつくってしまう癖があるんですが、声優さんが綺麗に頭と終わりを合わせてくれてなんとなく形にしてくれてホッとしました。またこんな授業があればいいなあと思いました。

・アフレコ実習の感想ですが、やはり自分が翻訳したものをプロの方に声に出して読んでいただくとゾクゾクっとしました。それと同時に、随分前に声優の養成所に通っていた頃のことを思い出しました。あの時は渡された台本を読むのに必死でしたが、翻訳者の方が読みやすいようなセリフ回しを考えてくれているおかげで素人でも割とすんなりと声を当てることができたんだなあと改めて思いました。

・声優の方の生の演技を目の当たりにして、鳥肌がたちました!
翻訳したセリフに声が当てられた瞬間、登場人物たちが画面上で生き生きと会話をしていて、思わず演技に引き込まれました。
習作中は自分でも口に出しながらセリフを翻訳していたのですが、スピードや口の動き、ブレスのタイミングがいまいち掴めませんでした。でも、プロの演技を見て、どのぐらいのスピードで読まれるのか、どこで口の動きに合わせるのか、ブレスとして区切るべきかそうでないか、といった判断基準の参考になりました。これから課題に取り組む際は、台本を読む声優の方のことを意識しながら、表現の面でも、見やすさの面でも、演技しやすい翻訳を心がけたいです。

アフレコ実習でまさに制作の現場を体験できるということが、学生の感想から伝わってくると思います。
研修クラスでは、夏にもっと本格的に吹替翻訳をする、声優・俳優科との『コラボレーション特別授業』があります。
今回の授業ではワンシーンでしたが、特別授業では30分のドラマを丸々翻訳して、声優・俳優科の学生がアフレコ収録。そして完成品を試写するところまで体験します。

夏も頑張れ!学生たち!