声優科|東北新社の学校だから力が身につく!
所属率は業界随一!
収録現場の「息吹」を教室の皆さんに伝えたい
佐藤宏樹 (株)東北新社/映像テクノアカデミア 声優科 学科主任/吹替ディレクター
演出作品:「家なき子 希望の歌声」「ネビュラ75」「ワニ少年アーロの冒険」「大好き♡アーロ」「ミスター・メルセデス」「NCIS:ニューオーリンズ」「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」「あなたの旅立ち、綴ります」「レバレッジ~詐欺師たちの流儀」「One Tree Hill」「MEN AT WORK」「ちいさな独裁者」「リム・オブ・ザ・ワールド」「エブリデイ」 「こひつじのティミー」(海外アニメ) 他
2009年10月、私は外画制作事業部からこの映像テクノアカデミアへとやって来ました。声優・俳優科を受け持つ講師、そして現役の日本語吹き替え版ディレクターとして。こういったポジションは今まで無かったのですが、役者という、華々しくも険しい道を突き進もうとしている皆さんに、より深く、より本気でぶつかり合うために志願しました。
では、いったい私は皆さんに何を伝えることができるのか。そう考えた時、それは実際の収録現場に流れる「空気」や「熱」といったものをダイレクトに教室に運び込むことではないかという結論に辿り着きました。
ある日、ある時間、ある場所に、役者とスタッフが集まり、ひとつの作品を作り上げていく過程で得られる感覚は、どこか「お祭り」のそれと似たような、非日常的な刺激と興奮に溢れています。しかしその一方で、ここは「戦場」でもあると感じるのです。
例えば、ディレクターはその作品の世界観を正確に把握しながら、それを的確な指示によって役者に伝えなければならないし、翻訳者は原語が持つニュアンスを日本人にとって違和感のない日本語を選ぶことによって抽出していかなければなりません。そしてまた役者は、自分に与えられた役柄を、台詞や映像からの情報だけでなく、想像力をフルに働かせることによって膨らませ、それを演技という技術で表現しなければなりません。
それぞれが与えられた役割を徹底的に突き詰めていくことが求められるのです。いずれかが欠けても作品は成立しないと私は考えます。
しかし、これだけではまだ良い作品には成り得ません。個々の能力、技術というものが優れているに越したことはありませんが、それが融合しないことには何の意味もないのです。外画の吹き替えに関して言えば、映像とオリジナルの音声はすでに完成しています。ですから、それなりの技術が伴った日本語の台詞が映像に乗れば、それなりに見えてしまうのです。
しかし、それでは見た人の心に「何か」を残すことはないでしょう。そこにはやはり、演技のやりとり、掛け合いが必要になってくるのです。そのためには何をするべきなのか。それは相手の台詞をしっかり聞くこと、そしてそれに対しどう反応すべきかを考え、相手に返すことです。つまりは会話のキャッチボール、ちゃんとコミュニケーションになっているかどうか、ということが重要なのです。
私が演出する作品の現場には、役者からの意見や提案、台詞や演技の解釈に関する質問などがいつも飛び交っています。見解が分かれたり、食い違うことがあっても、皆で納得するまで話し合って答えを導き出そうとするのです。そのため、役者は自分の役にしっかりと入り込み、その人にしかできないと思わせる演技を見せてくれます。そのことはきっと、完成した作品を見てもらえれば感じることができるはずです。
私は、このような収録現場の「息吹」を、教室にいる皆さんに伝えていきたいと考えていますし、また、皆さんと現場でひとつの作品を作り上げる醍醐味と苦労と時間を共に味わいたいと思っています。冒頭で述べたように、役者として生きていくことは決して生易しいものではないと思いますが、それが吹き飛んでしまうほど価値のある瞬間に巡り合える職業だと思います。
多くの新しい才能に出会えることを期待しながら、この映像テクノアカデミアで、私は待っています。