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【No.7】「映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」を翻訳して

船越智子 2006年3月 映画翻訳専科卒業
(株)東北新社 外画制作事業部 演出部字幕課
【 代 表 作 】
字幕翻訳:
「近距離恋愛」「恋するグルメガイド」「ジュラシック・アイランド」「スヌーピーと学ぼう!~アメリカの歴史~」
字幕演出:
「ANNIE/アニー(2014年版)」「メンタリスト」「ブラックリスト」「マスターズ・オブ・セックス」


今回登場していただく船越さんは、2006年に映像翻訳専科を卒業後、現在は東北新社の外画制作事業部 演出部 字幕課で勤務しています。
字幕課では演出だけでなく今回のような翻訳の仕事もあるのですが、いつも機会があると積極的に手を挙げて仕事を引き受けることで有名な船越さん。実はアカデミアを卒業後、東北新社に入社する際も、「入社のチャンスはないでしょうか」と自ら相談に来たことから道が開けました。
今回の「映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」は、子どもから大人まで大人気のあの「ひつじのショーン」の待望の長編映画です。もともと字幕で出すようなセリフはない作品ですが、ところどころに入るテロップの翻訳を船越さんが担当しました。テロップ翻訳に関してのインタビューに加え、字幕演出という仕事、またアカデミアに入学しようと思ったきっかけなど、卒業生インタビューの要素も盛り込みつつ、お話を伺いました。




© 2014 Aardman Animations Limited and Studiocanal S.A.


「映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」
あらすじ

牧場でのんびりと過ごすショーンと仲間たち。ある日、ショーンは牧場主から自由になる生活を手に入れるためにあるいたずらをすることに。
ショーンと群れの仲間たちは牧場主を眠らせて、牧場の隅にある車の中に移し、まるで夜になったように見せかける。ところが、牧場主が中でぐっすり眠ったまま車が動きだし大暴走!牧羊犬ビッツァーは暴走するトレーラーの後を追いかけて都会へ・・・。牧場に取り残されたショーンと仲間たちは大混乱。
そこでショーンたちはビッツァーと牧場主を追いかけて都会へ旅に出ることに!はたして、ショーンは牧場主を見つけ出すことができるのでしょうか・・・。


インタビュアー(以下「I」と省略):今日はよろしくお願いします。まずはじめに、今回のショーンのテロップ翻訳はどういう経緯でやることになったのですか?

船越:「ひつじのショーン」の資料翻訳のチェックのお仕事を以前担当したんです。「ひつじのショーン」の制作会社であるイギリスのアードマン・アニメーションズに関しての内容でした。アカデミアの生徒さんに翻訳をお願いして、その翻訳チェックの仕事をしました。
急な仕事で誰も手が空いていなかったので、じゃあ私がやらせていただきます、とお請けしました。
翻訳を納品して、その仕事はそれで終わりだと思っていました。そうしたら今回劇場版のお仕事がきて、前回資料翻訳の経験を知っている制作担当から、テロップだけの翻訳をしてもらえませんか?と直接頼まれました。
さすがに劇場版だし、翻訳室に頼んだ方が良いんじゃないかという話にもなったんですが、セリフが無いテロップだけの翻訳なので、演出的観点からここのテロップは必要、必要でない、といった情報の取捨選択ができたほうがいいということで、私が引き受けることになりました。




© 2014 Aardman Animations Limited and Studiocanal S.A.




I:テロップ翻訳するにあたり、スクリプト(英文台本)はあるのですか?

船越:ます初めにテロップリストをもらったんですが、どのテロップも尺(文字が映っている時間)がすごく短くてびっくりしました。尺が短いとテロップを出しても読み切れないので、本当に悩みました。
たとえば冒頭の日めくりカレンダーの所も、最初は東北新社 配給担当の方から「必要なんじゃないの?」と言われたんですが、どう考えてもテロップを読みきれないので、「日にちの経過がわかればいいので、テロップがなくても大丈夫だと思います」と、制作担当と一緒に説得してもらって、今回の状態になりました。



I:映像素材とテロップリストをもらって作業に入ったのですね。
いつもなら、翻訳者が翻訳して、それを演出する人が別にいてという流れのところを、今回は船越さんが翻訳し、自分で演出もするという経験はどうでしたか?

船越:自分だけでは不安だったので、制作担当に第三者の視点から見てもらいました。その上で、仮でテロップを入れた映像を配給担当の方がチェックする、という流れで進みました。
そこからだんだんと配給担当のいろんな方がチェックして、ここはあった方が良いとかここはないほうが良いとか意見をもらって...わたしがベースを作ったけれど、みんなの意見が反映されているので、みんなで作ったという感じですかね。
チェックしていただいた内容自体も、意見や指示が多かったので、最初のものから変化していきました。



I:たくさんのチェックが入った理由としては、「映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」が大人だけではなく、子供がみてもわかりやすいように、字幕演出の観点だけじゃないところも考慮しなきゃいけないところがありましたか?

船越:もちろんそうですね。Eテレでオンエアされているシリーズも子供さんたちが見ています。
なのでなるべく難しい表現は使わないように、漢字を使わないようにと気を付けました...。でもそれでは尺の観点からも読み切れないので漢字にはルビをつけることになりました。



I:渾身のテロップ、または難しかったテロップはありましたか?

船越:トランパーが追いかけてきて、最後牧場の裏で落ちるところがあります。そのテロップが「作業場」となっているのですが、実際は「石砕場」という意味なんです。「石切り場」...じゃピンとこないし、じゃあ簡単に「作業場」ですかね?と言ったらそれが採用になったんです。あそこはもう少し石切の感じを出せたらなと思ったんですけど、尺も短かったのでぱっと入る字幕がそれしか思いつかなかったんです。


I:いつもは牧場主以外あまり出てこないですが、今回はトランパーはじめ人間も、たくさん映画にでていますね。

船越:それもこの映画の大きなポイントです。都会に出てきて人間がたくさんいるということで、製作も大変だったみたいです。動物以外にもいろいろ作らないといけないですから。しかもそれをちょっとづつ動かしながら撮影するという、気の遠くなる様な作業が積み重なった映画です。



© 2014 Aardman Animations Limited and Studiocanal S.A.




I:エンド・クレジットがすごく長かったです!それだけのスタッフが関わっていることなんだろうと思います。

船越:加えて大人しかわからない、映画好きしかわからない、そういういろんなエッセンスが他にも入っていると思います。なので、劇場へいって大人も子供も楽しんで観ていただきたいです。


I:今回に限らず、船越さんは、いつも積極的に仕事に取り組んでいると評判を耳にします。
まわりも船越さん自身も仕事が一杯一杯な状況でも、「誰かこの仕事をやりませんか?」と聞くと必ず立候補してくれると。たとえすごく苦しい時であったとしても、「他に誰もいなければ私が...」と取り組んでいるから、今回のような次の仕事につながったんだと思います。

船越:本当にこれは運が良かった作品です。
しかもなかなか終わらなくて。ついこの間まで修正などで長引いていました。さすがにもうないとは思いますが(笑)。それだけみなさんの力が入った作品になっています。

仕事に対して立候補するのは、やはり少しでも経験したいという思いが強いからですかね。高校生の時からやりたいと思っていた仕事を今できているという、この夢のような現実の中で、吸収できること、経験できることは一つでも多くしたいと貪欲に思っています。もっともっといろんな作品を見たいし、演出も、翻訳もしてみたいと思っています。




© 2014 Aardman Animations Limited and Studiocanal S.A.




I:そのあたり、映像翻訳者になりたいと思ったバックグラウンドをお聞かせください。

船越:出身は広島です。
映画が好きで、高校生の頃から暇さえあれば観ていました。その頃は、字幕翻訳といえば戸田奈津子さんの名前しか知らなくて。何を見ても戸田奈津子、戸田奈津子...この人何者なんだろう?と思っていました。ハリウッドスターの隣で通訳もされてたり、本も出されているし、どうやったらこの世界に入れるのかな?というところから映像翻訳という仕事を知りました。戸田さんにも弟子にしてくださいって手紙を書いたくらいです。
その当時、ケビン・コスナーが大好きで、彼のセリフを理解したいという思いがすごくあったんです。



I:そして、高校卒業後はどういう進路を?

船越:大学は地元の短大を卒業しました。一応英語系なんですが、卒業した後も就職せず、1年カナダに留学しました。英語が聞き取れないと話にならないとは思っていましたので。
帰国してからは、英語力を生かして派遣社員として働きながら、映像翻訳者になる道を模索しつづけました。それでいろいろ調べて、アカデミアと他校の通信講座をやっていたんです。でもアカデミアの方がきっちり素材を送ってくれたり、不備もなかった。他校はドキュメンタリーが専門でしたが、アカデミアは映画一本を使用しての講座でしたので、とても楽しく勉強できました。



※現在は映像翻訳科の通信講座は開講しておりません。



I:通信講座は半年間でしたね。修了後は?

船越:半年間勉強して、実際学校に通わないと次につながらないと思い、思い切って続けていた派遣の仕事を辞め、何のつてもないのに、学校に通うためだけに、すべてを捨てて東京に出てきました。それが初めての東京でした。




I:アカデミアの3年間はどうでしたか?

船越:私なりに頑張ったつもりでしたが、井の中の蛙でしたね。上には上がいることを思い知りました。学校の生徒の中でもたくさんいるし、東京に出てきてからも派遣社員として働いていたのですが、英語ができるからといってもなかなか最初は仕事が見つからなくて...英語ができる方がいっぱいいるんだな、広島とは違うな、とそこでも感じました。



I:東北新社へ入社された経緯は?

船越:アカデミアを卒業したころは、委託契約で海外ゲームソフトのローカライズの翻訳チェックの仕事をしていました。その会社の契約が切れるときに、可能性はないだろうと思いつつ、鈴木学科主任に「東北新社(外画制作事業部 演出部字幕課)で人は募集していませんか?」とメールをしたら「今しているよ」と言われ、面接を受けにいきました。そして幸運にも入社できて、今に至るんです。


I:そこでも積極的に可能性を自ら探りにいったのですね。東北新社に入社してからの仕事はどうでしたか?

船越:字幕課で演出の仕事をするようになって、ますます自分の英語力というか、翻訳力がだめだなあということに気付いたんです。だから今は演出をやっている方が楽しいです。翻訳もやれと言われればやりますけど、私よりできる人が周りにいっぱいいるので、恥ずかしくて見せられないっていう思いがありますね。
演出という仕事を通じていろんな翻訳者の方の翻訳を見ているから、だめな翻訳は自分が直して良いものにしなきゃいけないし、良い翻訳を見ると、私はまだまだだなと感じるからだと思います。自分以外の翻訳をみるということは、本当に勉強になります。




I:仕事のスタイルとして、始発で出社されていると聞きました。

船越:今は、定時に帰らないと家の仕事が出来なくなるからです。みなさんは6時半から3~4時間残業するから、その逆で、最初に3~4時間残業しておいて6時半には帰るようにしています。


I:入社してからご結婚されたんですね。結婚してから朝方スタイルなのですか?

船越:結婚する前からですね。一時期すごく忙しくて、朝来るしかない!という時があって。それ以来朝早く出社する癖がついてしまいました。朝は、実はすごく仕事がはかどるということが分かったんだと思います。


I:そんな忙しい字幕課で働きながら、旦那さまとはどこで出会ったのですか?

船越:飲み会です。同じ業界の人ではないです、全然違います!
(旦那さんは)ありがたいことに結構帰りが早い人なんです。だから朝は、私が始発で出ちゃうので会話は一切ないのですが、夜がコミュニケーションをとる為の時間になっています。
家事も夜に簡単に済ませます。洗濯も夜干してしまいます。
旦那さんは、ショーンの前に翻訳した劇場映画も観に行ってくれたりします。



I:今後何かチャレンジしたいことはありますか?

船越:今後は...1年に1本くらいはチャンスがあれば翻訳はやりたいなって思います。それが目標です。


I:やはりインプットだけでなく、アウトプットをすることも必要だし、自分も翻訳することで、翻訳者の気持ちもわかるようになる。そうすると演出する際にも翻訳者の気持ちを汲み取れるようになるから、絶対演出の人も翻訳をするべきだと思います


© 2014 Aardman Animations Limited and Studiocanal S.A.


船越:数をこなせば翻訳も上手になるんじゃないかなと思うし、怖い怖いと言っていたらずっとこのままのレベルだと思うので、チャンスがあれば積極的に翻訳します!言ったもの勝ちなのかなと思います。でも思ってはいるんですけど、やっぱり自分の翻訳なんてだめだから、チェックする方にも気の毒だし...という気持ちの方がまだ強いです。


I:やる気が結果すべてを引き寄せるんだと思います。字幕だけでなく、吹替やボイスオーバーの翻訳にもぜひチャレンジしてみてください!

船越::実はアカデミアのトライアルでは、字幕より、吹替・ボイスオーバーの方が点数がよかったんです(笑)


I:アカデミアの生徒に何かメッセージがあればお願いします!

船越:諦めるな!
実際、私のように仕事にできた人もいます。夢というのはあきらめたら終わり。
やりたいやりたいって言っていれば、助けてくれる人が出てきます。他力本願はいけないですけど、絶対諦めないことです!



I:ありがとうございました。
夢に向かって猪突猛進し、仕事となった今も、常に積極的にチャンスをつかみとろうという姿勢をつらぬいている船越さん。努力する人に、必ずチャンスはやってくるというお手本のような卒業生です。

そんな船越さんがテロップ翻訳をした「映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」を劇場でご覧になっていただければと思います!





『映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』
7月4日(土)、新宿ピカデリー他全国ロードショー
Presented by スターチャンネル 配給・宣伝:東北新社

【スタッフ・キャスト】
監督・脚本:マーク・バートン
(『ウォレスとグルミット野菜畑で大ピンチ!』『マダガスカル』)
リチャード・スターザック

製作:アードマン・アニメーションズ(イギリス)、
スタジオ・カナル(フランス)

2014年/イギリス/アニメーション/英語/カラー/原題:『Shaun the Sheep The Movie』

公式HP:http://www.aardman-jp.com/shaun-movie/


【【No.7】「映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」を翻訳して】映像翻訳(字幕翻訳・吹替翻訳)にご興味のあるみなさま
映像テクノアカデミアの映像翻訳科では、映像翻訳(字幕翻訳・吹替翻訳)のプロを目指す方のために、基礎から応用レベルまで第一線で活躍中の翻訳者が丁寧に指導いたします。また、「本科」「専攻科」「プロクラス」修了者がトライアル審査をクリアすると、東北新社から仕事が発注され、幅広い分野の映像翻訳の経験をつむことが可能です。