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【映像・広告】「カンヌライオンズ2013報告会」第1部 ACC主催(@有楽町朝日ホール)

2013年10月 7日 14:20

f0064203_8363144.jpg

今年の報告会は、

~7人のクリエイターが語る"映像こそ最強のコンテンツ"~

という
タイトルがついている。
昨年の報告会はカンヌライオンズの各部門の日本の審査員が、
そのジャンルの特徴を含めてどれが印象に残ったのか?
という観点から語られた。
いきおい伝統のあるフィルム部門だけを取り上げることだけではなく、
サイバー、アウトドア、プロモ&アクティベーション、デザイン、モバイル
チタニウムライオンなどいくつかの部門が並列的に語られた。
「広告」という言葉が「クリエイティビティ」となり、それら全体を理解するという意味では
とても貴重な報告会だった。

が、この報告会の主催はACCである。TV放送局、広告主、広告会社、CM制作会社
が集まった団体ならではの報告会があるだろうという趣旨のもとに今回のタイトルが決まり、
それに沿った形で報告会が行われた。

最初のスピーチから最後に至るまでの進行を務められたのが
今年のフィルム部門の審査員を務められた鏡明さん。
鏡さんは個人的にSF本の書評家としての顔ももっている。
僕が最初に鏡明の名前を知ったのは「本の雑誌」の中で、
鏡さんが読んだSF本の書評のコラムの連載だった。

鏡さんはまずフィルム部門で印象に残ったものとして
3000本の中からグランプリを獲得した
「Dumb ways to die」

http://www.youtube.com/watch?v=IJNR2EpS0jw

の180秒のメルボルンの地下鉄の動画コンテンツ


「Beauty inside」という合計2時間半となるTOSHIBAの
インターネットムービーの紹介から始まり、
鏡さんが気になるキャンペーンをたくさん紹介していただいた。

http://www.youtube.com/watch?v=3GdWUjG72sk

今年からカンヌも予備審査というものが出来、
インターネット上で1人約700本のフィルムを延々と自宅や会社のPCを通じて
見続けるところから審査が始まったらしい。
そして3000本が2000本に絞られ、
さらにカンヌにてロングリストとして380本が残り
ショートリストとして280本が選ばれる。
この時点でようやくWEB上でリストが発表される。
そこからBRONZ,SILVER,GOLD,GRANDPRIXが選出されるらしい。

まず最初に鏡さんに見せていただいたのがショートリストにも
もれてしまったフィルム。フィルムの題名を忘れてしまいました。
鏡さんはこれをとても評価されていたのだが、実は以前に作られた
ラジオCMか何かのリメイクであるということがわかり、
歴史的な文脈を大切にするカンヌにおいてはいかに完成度が高くても
受賞に値しないということでショートリストにも入らなかったらしい。
オリジナリティということを大切にするという基本姿勢がここにはあるのだなと思った。

続いてGOLDの「Carton Draft」のビールのCM、

http://www.youtube.com/watch?v=oo5zwV6_yVs
ビールを持った強盗犯が警官に追われるのだが、
ビールを飲むので車を運転しての

カーチェイスを排除した追っかけっこにしたもの。

またクラフト部門でグランプリを獲得した
チャンネル4のパラリンピックをテーマにしたCMが素晴らしい。

http://www.youtube.com/watch?v=kKTamH__xuQ

ああいった撮影や映像編集がきちんとされたものを見ると刺激を受ける。
クラフト部門とは仕上がり全体を含めたものを評価する部門であり
制作会社にいる人はその仕上がりの良さを見て
現在の世界のレベルを確認することができる。

最後に鏡さんは「for the future」と題して未来へ向けての提言をされた。
そのためには世の中における「本当の課題」を見つけてそのための解決策を提示すること。
クリエイティブ・ブリーフを飛び越えてそうした問題を掘り起こすことが
本質的な意味でのインサイトを発掘することであると。
それを発見するためには、常にこれでいいのか?と疑い続け、
新たなことにトライし続けながら現状に満足しないで
世の中の流れを見続けること。

この気持ちを常に持ち続けることが大切だ!というお話をされた。

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