映像テクノアカデミア

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【映像・広告】「映画は予告編が面白い」池ノ辺直子(@光文社新書)

2014年5月21日 12:01

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映画の予告編ディレクターという仕事がある。
この仕事に興味を持ちだしたのは、僕が東北新社の
映像テクノアカデミアに異動になってから。
編集クラスがあるのだが、そこのカリキュラムで
映画予告編ディレクターの相澤雅人さんがお話をする回がある。
それを聴きに来る生徒の多くが、映画予告編のディレクターになりたいと言う。
こんなに多くの人が映画予告編のディレクターを目指しているのか?
ということに驚いた。

実際にどんな仕事をされているのか?
相澤さんの授業でのお話でもいろいろと具体的なお話をお伺いしたのだが、
たまたま図書館で本書を見つけたので借りてみた。

いろいろ調べると現在流通している中で
本書が唯一の映画予告篇を語ったものではないだろうか?

本書の出版は2002年5月である。
12年前から今に至ると、
ここで書かれているフィルム仕上げでのワークフローはほとんどなくなっていると思われる。

著者は映画予告編制作会社「バカ・ザ・バッカ」という面白い名前の会社の女性社長。
映像の専門学校を出て、その後、編集のアシスタントやCMなどの編集の仕事を経て、
映画予告編制作の大手「ガル・エンタープライズ」に入社。
しばらくした後、退社してフリーランスのディレクターとして働く。
「フラッシュダンス」などたくさんの映画予告編を手掛けるようになり、
仲間と一緒に予告編の制作会社を始められた。

最初は個人名を冠した会社名にされていたのだが、
創立10年が経ったときに会社名を変えようということで
このユニークな「バカ・ザ・バッカ」という会社名になったそうである。
本書を読むと著者の池ノ辺さんの半生が良くわかる。
また、どうやって映画予告編を制作しているのかも。
ある個人の宣伝担当者によってそのクオリティが大きく変わったことなども書かれている。
ワーナーの宣伝担当、中村さんんのことについて語ったくだりなどが印象に残った。

そして、本書では何人かの映画予告編業界で働いている人に
池ノ辺さんがインタビューをされている。
相澤雅人さん始め、予告編ディレクター以外にも
タイトル、選曲、効果音、音声ミキサーさんまで。

映画予告編はある映画の素材を元に
まったく新たな宣伝物を再構成し編集する仕事である。
映画を素材として客観的に見ることのできる感覚を持ちながら、
映像編集と構成の技術を磨いていくことが大切だということが伝わってきた。
映画が好きすぎてもうまくいかないことがあるということらしい。
プロの職人魂みたいなものを感じた。

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