秋晴れの2009年9月13日(日)、映像翻訳科としてはじめての試みである、課外特別セミナーを開催しました。 ホームページの卒業生インタビューで、翻訳者として活躍している卒業生に取材をする中で、「実際に日本語版制作の現場に入ってみて、どれだけ多くの人が関わっているかを知り、自分の翻訳次第で後の工程で迷惑がかかる場合があることに強い責任を感じた」という声を何人からも聞いたことから、今回のセミナーの企画を思い立ちました。 一人でこつこつと作業するイメージが多い翻訳作業ですが、実は制作という大きな流れの中の一工程であることや、実際の現場で求められる翻訳者像と、皆さんの思う翻訳者像のギャップがあるのでは? 映像翻訳科は東北新社の外画制作事業部が全面的にバックアップをしているので、実際の現場のリアルな今を発信してみよう!そうすることで、映像翻訳をより理解してもらって、身近に感じてもらうのがねらいでした。 会場の都合上70名に限定せざるを得ないため、御案内対象者を在校生と卒業生、資料請求者にしたところ、100名を超す多くの申し込みを頂き、皆さんの関心の高さに驚きました。 迎えた当日。会場となる4階C教室は満員に。 ①「映像翻訳業界の過去と未来」 封切り本数が、開始以降現在に至るまで非常に安定している劇場映画に比べ、テレビやビデオグラムは普及拡大時期にどっと本数が増え、また今はインターネットという媒体に取って代わられようとしている現状が一目でわかりました。 それはそのまま映像翻訳という仕事の需要にもつながり、今後も必要とされる職業であることは間違いないと確信しました。 ②「日本語版制作における翻訳の位置」 多くのスタッフ・キャストが絡む制作現場の中で、唯一著作権が発生するのは翻訳者だけであることから、やはり翻訳は、作品の方向性を決定付ける上で非常に重要なポジションであること。 翻訳者となってデビューすると、一番頻繁に付き合うようになる制作の話に、特に在校生の皆さんは熱心に耳を傾け、台本や整合表などの資料も真剣に見ている姿が印象的でした。 そしてここからは本日ゲストとしてお招きしたお二方の講演になります。 ③「求められる翻訳者像」 戸田奈津子さんとのエピソードなども交えつつ、一番大切なのは 制作の現場のお話では、日本語に翻訳した後、監督に許可を得るために、バックトランスレーションをして本国に送ったり・・・という苦労話もありました。すべてのお話が、普通では到底聞くことのできないことばかりでした。 ④「映像翻訳者への道」 そして最後は、「アリー・myラブ」や「デスパレートな妻たち」の翻訳でも有名な高山美香さんより、今の売れっ子翻訳者になるまでの紆余曲折の来し方を語って頂きました。会場の皆さんの多くは高山さんのファンでいらっしゃるようで、目を輝かせながら高山さんのお話を聞いていました。 「私の人生は捨てる神あれば拾う神ありで・・・・」で始まったお話では、大阪でのOL時代に字幕翻訳者を志し、挫折しそうになりながらもポイントポイントでチャンスに恵まれて、吹替翻訳者としての今がある・・・・と、意外とも思える苦労話を飾らずお話くださいました。 「私は留学経験があるわけでもない純国産ですから(笑)」など、親近感が湧く前向きなキャラクターで、翻訳者を目指すみなさんに勇気を与えていただきました。 最後に事務局側の反省点一つ、盛りだくさんの内容を短い時間の中につめこみすぎたこと、 やはりこれは1日コースのイベントでした。 映像翻訳科は、今後もこのようなセミナーを通して、東北新社の映像テクノアカデミアだからできる情報の発信を、皆様にむけて企画していきたいと思います。次回をお楽しみに! |
【 映像翻訳のリアルがわかる! 】映像翻訳(字幕翻訳・吹替翻訳)にご興味のあるみなさま
映像テクノアカデミアの映像翻訳科では、映像翻訳(字幕翻訳・吹替翻訳)のプロを目指す方のために、基礎から応用レベルまで第一線で活躍中の翻訳者が丁寧に指導いたします。また、「本科」「専攻科」「プロクラス」修了者がトライアル審査をクリアすると、東北新社から仕事が発注され、幅広い分野の映像翻訳の経験をつむことが可能です。