映像翻訳科|東北新社の学校だから力が身につく!
プロへの近道!
【No.1】「チョコレート・ファイター」を翻訳して
李静華
2006年3月 映画翻訳専科卒業
(株)東北新社 音響字幕制作事業部 翻訳室
【 作 品 歴 】
劇場公開作品 「俺たちフィギュアスケーター」「覆面ダルホ~演歌の花道~」以上字幕作品
放送・DVDシリーズ
吹替作品 「スターの恋人」「BAD LOVE~愛に溺れて~」「Lの世界」
「キッドナップ」(字幕も)
字幕作品 「恋するマンハッタン」「フルハウス(韓国版)」「トムとジェリー」
DVD長編作品
吹替作品 「私たちの幸せな時間」「ジョージアの日記~ゆーうつでキラキラな毎日~」
「角砂糖」「おまえを逮捕する」「スピーシーズ4 新種覚醒」「うつせみ」
字幕作品 「愛の伝道師 ラブ・グル」「タイムジャンパー」
李静華さんは映像テクノアカデミア2006年度の卒業生です。 現在東北新社の日本語版制作部門の翻訳室に在籍し、同時にテクノアカデミアの講師も務められている、映像翻訳界ではこれからが期待される若手のホープです。 今回は彼女が手がけた、タイ映画のDVD日本語吹き替え版「チョコレート・ファイター」についての翻訳苦労話をあれこれ聞いてみました。
インタビュアー(以下「I」と省略): I:わかりました!(笑)・・・・・インタビューを臆せず出来そうな気がしてきました。 I:それではまず翻訳の手順から・・・・タイ映画でしょ、スクリプトもタイ語だったんですか? I:字幕用のスクリプトじゃ大変だったでしょう・・・・オリジナルの台詞と長さが違う、抜けはなかったのですか? 李:大丈夫でしたね(笑)。それより助かったのは、すでに日本語字幕版が出来ていたので大変参考になったこと。逆に、心配したのはキャラクター名です。
I:なるほど・・・・翻訳室の分業ですか(笑)!なんというありがたい職場なのか(笑)!でも加藤さんが監修って、彼女タイ語できるんですか?(ビックリ) ©2008 sahamongkolfilm international all rights reserved. designed by pun international I:??・・・・第二外国語がタイ語・・・私なんかの理解の及ばないところです・・・・(笑)それにしても、最初に字幕をやった小寺さん、ハコ切り大変じゃなかったんですかね? 李:これは私の経験からの想像なんですけど、小寺さんは大ベテランです、英語以外の作品もかなりたくさんやっているはずですし・・・・たぶんそんなに大変ではなかったと思います。それにスクリプトは英文ですから。前に私もロシア作品をやったことがあるんです。最初は大変なんですけど、やっていくうちに見当が付いてくるんです。迷ったところは監修者にも相談できますから(笑)・・・・ I:やっぱり、翻訳室の特権ですね。もし李さんがフリーだったとしたら大変でしょう? I:翻訳方法については解りました。次に内容についてお聞きしたいと思います。先ほども言ったように、話の展開としてはきわめて単純ですが、アクション映画としては実に面白い、よく出来ていると感心しました。特に主人公の少女のアクションはワイヤーを使っていないだけに、驚きとしか言いようがない! 李:びっくりですよね!この作品をいただいたとき、同じプラッチャヤー・ピンゲーオ監督の「マッハ!!!!!!!!」を勉強のために見ました。それもすっごく面白くて・・・・やっぱりワイヤーを使わない男性のアクションものでしたけど、「チョコレート・ファイター」はその女性版ですね。おっしゃる様に、複雑な筋の台詞劇ではぜんぜんなくて、単純な見せる映画です。 I:でもいくらアクション作品だとは言え、翻訳をやるからには「この作品はここを見てくれ!」、「ここが私の見せ所だ!」(笑)みたいなものはあるでしょう? I:李さんの意図をお聞きして振り返ってみると、強い印象として残るのは、主人公が病気の母親を助けようというひた向きさと、それを助ける少年ムンの優しさですかね・・・でもこれらの印象、主人公の女性ファイターがあまりにも強くて、打ち消されてしまうんですよ(笑)。それと知的障害っていうのも特異な設定ですよね・・・・カンフーのアクション映画を見るだけで、技を習得できて、スーパーウーマンになってしまう。 ©2008 sahamongkolfilm international all rights reserved. designed by pun international 李:そうですよ、こんな設定ほんとに珍しい・・・でも、彼女の台詞には気を使いました。タイ語のニュアンスがわからないのと、スクリプトが英語ですよね。英語の翻訳がタイ語のニュアンスをどれほど汲み上げているか、分からないんです。もちろん英語より、日本語のほうが制限はきびしい・・・・ここらへんは注意しました。 I:もう少し具体的に教えていただけませんか。 I:悪役の台詞のほうは、どのような所で訓練したんですか?それとも地ですか?(笑)・・・・ I:ということは、別の機会では相当な訓練をやっている?・・・・ I:分かりました。ほかに、この作品について何か工夫したことはありませんか?
I:李さんが先ほど言われたように、これもアクション中心で台詞が少ない作品だから、逆に一つ一つの台詞に気を使った結果だからなんでしょう? I:キャラクターと台詞・・・このキャラクターだったら、絶対にこの台詞はあり得ない・・・映像翻訳の一つの生命線ですね・・・ ©2008 sahamongkolfilm international all rights reserved. designed by pun international 李:おっしゃっていることと同じことを言っているのかも知れないんですけど、どんな単純なドラマでもポイント(中心)があると思うんです。翻訳する前に、ここだとは意識してはいないんですが、キャラクターを設定し、それにあった台詞を創っていく・・・・そしていろいろな伏線を考えていくと、自然とキャラクターが動いて行ったりして、ドラマのポイントが出来上がっていくんです・・・・だから、台詞の形というのは大事なんだと考えています。 I:ハハハハ!今回のインタビューのポイントに当たったような感じがします!(笑)でも、そうやって創ったキャラクターイメージと実際の役者さんのキャスティングが、違ってしまうことってありませんか? 李:私のような新人が、そんなこと、こんな公開の席で言えるわけないじゃないですか!!(笑)でも・・・・今回の作品はイメージどおりでした。主人公のファイターもとても上手だったし、特に彼女のお母さん役の林真里花(注:3)さん、ぴったりだなと思いました。
I:最後の質問になりますが、タイ映画であるこの「チョコレート・ファイター」の翻訳、李さんにとってどんな経験になりました? タイ語の特徴は語尾の発音を伸ばすんです、「カアー」とか「マアー」とか(笑)・・・・ここが英語といちばん違うところです。私はいつもだと台詞が長くなりがちなんですけど、今回はちがいました、録音現場ででもディレクターから言われて、台詞を足したりなんかもしました。 I:苦労していますね(笑)! 李:最後は日本語という台詞にしなければいけないので、結局勝負は作品の内容をどう理解するかになってくるんですよね。いつの間にか、「チョコレート・ファイター」の経験というよりは、教訓談になってしまいました(笑)・・ I:先ほど最後の質問と言ったんですけど、もう一つ最後のお願いが出てきました。いまの教訓談?(笑)を伺っていて、李さんが翻訳を行うにあたっての心構え全般のようなことをお聞きしたくなりました。簡単で結構ですので・・・・ I:亡くなった方ですが、東北新社のディレクターに中野寛治さんという方がおりました。 |
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