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映像翻訳の仕事をずっと続けたい…

大川直美 映像翻訳者/1998年3月 映像翻訳科・映画翻訳専科卒業


1998年3月 映像翻訳科・映画翻訳専科卒業
【作品歴】
[放送] 吹替作品:シリーズ:「シルクストーキング」「ジャック&ジル」「バグス」「新ハイランダー」 その他ディズニーシリーズ作品多数 長編映画:「ザ・コア」(日曜洋画劇場)「いとこのスキーター」
ボイス・オーバー作品:「科学捜査ファイル」「現代の驚異」「突撃!大人の職業体験」「十字軍~月と十字架のもとに~」「メガ・ムーバーズ~巨大建造物を移動せよ~」
[DVD] 吹替作品:「チャイルド・コレクター」「ハピネス」「ポイズン」「バイオクライシス」

ほかのインタビューでも述べているのですが、映像テクノアカデミアは設立されて既に13年が経とうとしています。当然のことながら、卒業生には10年以上の翻訳者が数多くいることになるわけで、今回インタビューに応じていただいた大川さんも、そのような卒業生の一人です。具体的には1998年3月の卒業で映像翻訳科の2期生。
現在は、主に吹替翻訳を中心に活躍中です。具体的なタイトルを出せないのが残念なのですが、数多くのディズニー作品を手がけている大川さん、10年以上にわたって映像翻訳の世界で生きて来られた”力の源”は何だったのか・・・・・少々、大きなテーマですが伺ってみたいと思います。

まずは、型どおりで恐縮ですが、テクノアカデミアに入る前後あたりのお話からお願いします。

大学を卒業して、某大手の自動車メーカーに就職したんです。そこに航空機部門がありまして、最初はそこで…。

大学はなにか、そういう関係の学科だったんですか?

いえ、日本文学科でした。

?……(笑)……大学の専攻と就職先の職種があまり関係ない、というケースはよくあると思いますが……でも航空機と日本文学…ものすごくかけ離れていらっしゃる……(笑)。

そうですね…ところが、もっとすごいことになって…海外の航空機会社との契約書の翻訳をする仕事を担当するようになりまして、絶対的に英語が必要になってしまったんです。英文科ならともかく、日本文学ですから…とにかく英語学校に通い、急いで詰め込みを開始しました(笑)。

海外との契約となると、映画とかTV番組などの契約もそうなんですが、大変細かい…。

そうなんです、広辞苑!くらいの厚さの契約書があたりまえで、その上、ひとつ間違えたら大きな損害になりますので、厳密さは凄く要求されましたね。

専門的な知識とか特殊な用語とかも多いんじゃないですか。

ええ、そればっかり(疲労感あふれて)・・・・・・。でも専門用語は一度覚えてしまうと何とかなるんですが、なにしろ分量が半端じゃなくて、随分鍛えられました。

でも考えようによっては、重要なポジションで安定した職業として、続けようと思えば、ズッと続けら れたのではないですか。

今はどうなっているか分かりませんが、当時は、航空機業界はまだまだ男性中心の環境だったこともあって、一生この仕事を続けていくのは難しいんじゃないかと、考えていたんです。けっこう、挫けてたんですヨ(笑)……

それで、映像翻訳者を志した?……、相当な飛躍だと思えるのですが…。

そうでもないんです。高校の時から、英語は好きで得意だったというのと、会社員の時も、当時名画座だった銀座のシネスィッチとかの映画館に入りびたりでした。オードリー・ヘップバーンとかハンフリー・ボガードなどのクラシックな名画もたくさん観ました。

下地はあったわけですね。

それに、ちょっと恥ずかしいんですが、小学生の頃、ちょうど人気だった山口百恵さんの「赤いシリーズ」に夢中になったり、「赤毛のアン」とか、「若草物語」、「足ながおじさん」などを何度も読み返していました。よくも飽きもせずと、今は思いますけど…、物語が大好きだったんですね。

まさに夢見る少女そのもの、正統的な?少女時代を過されたと…。

見よう見まねで「大映ドラマ」調の台本を書いて、みんなの前で発表して喝采されたことが、ささやかな成功体験になりました。 その頃から、ドラマや物語にたいする愛着はずっと続いていますね。

一言で言うと、ハードな仕事で上達した英語と、ドラマや物語が夢見るように大好き、ということが結びついたわけですね。

なにか素直な感じで、「映像翻訳」をやってみたいという気持ちが高まったのです。

結果としてアカデミアへ入られたわけですが、きっかけはどのような…。

個人的な事情も重なって会社を辞めて……とにかく映像翻訳を教えてくれるところを探してみようということで、「映像テクノアカデミア」や、いくつかの翻訳学校をまわりました。当然説明会なんかにも参加しました。

「アカデミア」を選ばれたのは、どんなところでしょう。

ちょうど、その時は、林完治先生がアクション映画の一場面の翻訳を実際にやって見せていただきました。一番具体的で、やはり東北新社という日本語版を制作している会社が運営していることで、現場に近いな、という印象からだったと思います……選んだのは…

アカデミアの雰囲気、最初の頃の印象はいかがでしたか?まだできて2年目だったでしょう…

試験に受かり、研修クラスから授業を受けはじめたのですが、その頃はプロになれるかどうかということより、そうそうたる顔ぶれの先生方のお話を聞けたり、有名な映画のワンシーンを訳せることが楽しくて仕方ありませんでした。正直に言うと…「なんとか学費を回収できたらいいな」ぐらいの野望?は抱いてはいましたけれど(笑)…でも、学校ができて間もなかったこともあったし…卒業してからどんなチャンスに出会えるかということも、実際分からなかったですし…

そうかもしれませんね…とりあえず、授業をきちんとこなすしかない…英語は大丈夫だし、映画や物語は慣れ親しんできたので、なんとかやれるだろうと…。

スイマセン、甘かったです(笑)……授業は楽しいことは、楽しかったのですが、でも…映像翻訳を実際やってみると、なにもかもが難しくて…いちばんよく覚えているのは佐藤一公先生の授業…字幕と吹替のあまりの違いに愕然としましたね。

それに…例えば…岩本令先生が子供向け番組の習作を見て下さった際に、小さな女の子の台詞に「何々だわ」とつけるのは不自然よね、今どきの女の子は語尾に「~だわ」なんてつけないでしょう、とおっしゃったことは強く心に残っていて、今でも仕事をする際に気をつけています。

…頭の中だけで翻訳をすることと、実際にプロの卵(にもなっていないのですが、話の都合上・・・)として台詞を作ることは、全く違う次元のことだって……今になっては当たり前のことに気付かされたりもしました。

挫けませんでしたか?

いえいえ逆です、私にとっては新しい発見ばかりで…毎回授業に行くのが楽しみでした。もちろん、先生方からいただくのは辛口コメントがほとんどでしたけど…コメントと言えば、実践クラス(現在の映画翻訳専科)も卒業間近な頃、長編の吹替え演習を佐藤一公先生が見て下さったことがあったんです。

珍しいことに「よく考えてあって感心!以前に比べると別人のようです」なんてお誉めの言葉を頂戴し、喜んだのもつかの間、原稿を見たら真っ赤(笑)…ほとんどに赤が入って添削されていました。今でも忘れられない思い出です(笑)……

ほかに授業での貴重な体験ありませんか?

こちらも佐藤一公先生の授業で習ったことで、今でも心がけていることがあります。 「長い台詞は一本調子にならないよう文章を分けよ」というものです。

英語の台詞は、接続詞なんか を使って長く続いていくことがあります。このような時にはたとえブレスがなくても文章を分けて、日 本語として不自然にならないように工夫しなさい、ということで……こうやって説明すると当たり前 のことかもしれないですが、何もわからなかった私にとってセリフづくりの基本となる貴重な教えでした。

十年以上も前の授業、いろいろ思い出していただきありがとうございます… こうして2期生として卒業ということになるわけですが、プロフィールを拝見したところ、卒業されてす ぐに仕事が始まっていますね。

ほんとに運が良かったんですね……卒業と同時に仕事の依頼が続いて、「いいのかしら?」と思いました(笑)。ちょうどCS放送の海外ドラマのチャンネルが急に増えた頃に重なったためか、すぐに同級生5人で組む形で、TVシリーズの吹替翻訳の仕事を頂いたんです。

卒業したらそのうち仕事のチャンスはあるかもしれない…と漠然と期待はしていましたよ・・・でも、駆け出しすぐで、突然あんなに忙しくなるなんて、思ってもいなかったことですから、ただただビックリして(笑)…とにかく目の前の仕事をこなすのに必死でした。

CSチャンネルの直接的な影響で、その頃からだったと思います、番組の数が劇的に増えたのは。けれど、逆に地上波の枠が減ったんですね。映像翻訳の業界も、いやな表現ですが、薄利の時代に突入しました。経済的には、いかがでしたか。

正直言って、やはり会社員のようにはいきませんね、来月の収入が読めないフリーランスというのは、やっぱり不安定なものです。時には他の仕事もしながら、なんとか「映像翻訳」という仕事を続ける道を選んできました。そうしてきたのは、やっぱりこの仕事が好きだったからですね。

もちろんつらいことも多いんですが、それが苦にならなかったんです。それと、これは私だけだと思いますけど……この10年…やってもやっても翻訳上手にならないなと思っているんですよ(笑)…薄氷を踏むように一歩づつ進んでいたらいつの間にか10年過ぎてしまったという感じです。

何か、「翻訳者大川氏、苦闘を語る」になってきました…(笑)。でも、苦にならないというところを、もう少し詳しく、説明していただけませんか。

本当に嬉しいんですよ!この俳優さんが日本人ならきっとこう言うなという台詞を書けた 時、そして……そのセリフを役者さんが生き生きと演じてくださった時、あの喜びは絶対! ですね(真剣な表情で)。そのおかげで、ここまで続けてこられたのかもしれません。 それと… 毎回勉強することがあるというのも、続けられた理由の一つと言えるんじゃないでしょうか。

つまり……卒業してプロになった、ギャラをもらえるようになった、でも翻訳をして日本語版を創る場 は、相変わらず勉強の場であり、授業で教わった以上にいろいろなことを教わるんですよ。勿論 授業の時のように手取り足取りではないんですが…

とても面白いお話になってきました……これももう少し詳しくお願いできませんか

強烈な印象で、忘れられないのは…ある大御所のディレクターさんの「梗概を見ればその翻訳者の技量が分かる」という言葉、これを聞いたときには身が縮みました。確かにそうなんです、梗概は直接役者さんがかかわる”台詞”ではないので、おろそかになりがちなんです。

でもとんでもないことで、梗概は翻訳者がオリジナルの作品をどう解釈し、どう台本を創ったかが現れるものなんですよね。あの言葉がなかったら、今でも梗概の大切さが分かっていなかったかも知れません。分かっていても、簡潔にまとめるのは難しくてなかなかうまくできないんですけどね。

注)梗概(こうがい)映画ならば本編全体、TVシリーズならばその話数の内容を1000文字程度でまとめた文章。
吹替え台本の最初に梗概は必ずつけられます。

なるほど…おっしゃる意味はわかりました。仕事という実践の場は常に勉強の場でもあるわけ で、勉強にするかしないかは、翻訳者の心がけ次第というわけですね。 質問の方向を少し変えさせていただきます。
フリーランスを十年やるということは、ラッキーでもある のですが、ある意味ではとても大変なことであると思うんです。十年続けてこられた秘密、あるいは コツ、大げさに言えば極意のようなもの、なにかお話いただけませんか……

来ましたね…企業秘密を語れということですね(笑)…残念ながら秘密にする ようなコツがないんですよ。あればそのコツどおりにやって、もっと楽になれるんでしょ うけど(笑)…そうですね…細かいことの積み重ねと言うしかありませんね。

例えば、先ほどの「長い台詞は一本調子にならないよう文章を分けよ」ということもそう なんですが、「言葉のリズム」に気をつけるようにしています。たとえば、英語圏の人たち は話し始める前に「ah・・・・・」「uh・・・・」などとよく言うことがありますが、これ をすべて忠実に「アー・・」「ウー・・」としてしまうと、日本語として不自然になること があります。

もちろん、時には「アー・・」「ウー・・」とすべき場合もありますが、そこ に込められた意味や日本語として自然であるかどうかを考えて、出すかどうかを選んでい きます。 私はどちらかと言うとコメディタッチの作品が多かったのですが、そうした作品の場合 は特にリズムを考えてテンションの上がる言葉を選ぶように気をつけていました。

「BUT  WHY?」なんていう台詞には、「でもなんで?」じゃなく「なんでまた?」とすると、役 者さんがコミカルなニュアンスをつけてくれやすいかな、などと考えます…とにか く、こんな細かいことの積み重ねですね…

コツは無いなんて、謙遜しすぎですネ(笑)…お話いただけてことは、本当にきちっとした極意だと 思います(笑)……特にプロを目指す後輩達にとっては役立つのではないでしょうか。 次の10年の目標はありますか…例えばこんな作品をやってみたいとか…

昔読みふけった「赤毛のアン」や「足長おじさん」などの影響があるのかも知れないんです けど…やはり子供向けの番組が大好きなんです、なのでディズニー作品にご縁があったことを 幸せに思っていますし、子供向けの作品を中心にやっていきたいという希望は、これからも変わりません。

最近は、ドキュメンタリーなどもやらせていただいて、幅を広げられる経験になっていま すし、そのほかにも色々なジャンルにチャレンジしたい気持ちももちろんありますが、自分が昔ド ラマやアニメに夢中になったように、今の子供たちに物語の世界を楽しんでもらいたい、そのお手 伝いを続けていきたい…という思いが強いですね。

まさに、三つ子の魂百まで、です。それでは最後に、映像翻訳を志す皆さんへのメッセージをお 願いします。

まだ、まだ、新人と思っている私にずいぶんな質問だと思います(笑)… そうですね……その時だけ100点をとればいいわけではない、というのがプロの世界なのかな と思います。今回100点でも次が50点なら、前の100点の意味はなくなってしまいます。

自分に 70点の力しかなければ、ないなりに常に70点をキープできるようにする、そこから少しでもアップ させようという気持ちを持っておく…そんなイメージでしょうか……口幅ったいかもしれませ んが、「100点の作品を1本より、平均70点を100本」、その方が信用していただけるように思 います。

そして…言葉を選ぶ作業を楽しんでいただきたいですね。自分が楽しみながら一つ一 つこなしていくことが、10本になり、100本になっていく道につながるんだと思います。

最後になりましたが、お世話になった現場のスタッフの方々にお礼を述べさせていただきたい んです。 お仕事を始めてからというもの、私は「映像テクノアカデミア」の卒業生ということで、収録の現場でとてもたくさんのことを教えていただき、演出や制作の方々に育てていただいたと思って います。むしろ卒業してから受けた”実践教育”がどれほど役立ったか…本当に感謝していま す…ちょっと宣伝っぽかったですか?(笑)…

大川さんのお話を伺っていると、「映像翻訳」という仕事に、「行き着くべくして、行き着いた」というような、何か自然体で謙虚な姿勢が感じられました。しゃかりきになって、やり通すぞという無理矢理ではない、肩の力をぬいた柔軟で素敵な台詞をどんどん書いて、これからも子供たちに届けていただきたいと思います。最後に「アカデミア卒業生」の特典?を述べていただき、感謝いたします(笑)。

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