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台詞作りは大変だけど楽しい!

中村久世 映画翻訳者

代表作/[劇場吹替]…「怪盗グルーの月泥棒/ミニオン危機一髪/ミニオン大脱走」「ミニオンズ」「ペット」「スマーフ1~2」「アイスエイジ1~3」[TV]…「”SHERLOCK” シーズン1~4/忌まわしき花嫁」「刑事フォイル」「戦争と平和」「ARROW シーズン1~2」「フライト」「宮廷女官 チャングムの誓い」

英語で書かれた台詞を日本語の台詞に転換するとき、2つの段階があります。

私は吹替翻訳がメインの翻訳者ですので、吹替翻訳についてお話ししますね。

1つめは、英語の意味を正確に把握する段階。

2つめは、それを日本語に整える段階。

日本語らしい分かり易い表現にし、かつ、英語の長さに合わせてリップシンクし、かつ、必要なら画面に合わせて言葉を適切な位置に配置します。

たとえば、You mean Tom? という台詞を聞いたとき、「あなたはトムを意味しているのか?」いう内容だな、と理解するのが1つ目の段階。

そして、2つ目の段階で、その場面やキャラ設定に合わせた日本語を考えます。

例えば、高校のクラスメート同士の会話だとしたら、「あなたはトムを意味しているのか?」では硬すぎますよね。

そこで「それってトムのこと?」というカジュアルな台詞に転換します。

ところが画面を見てみると、この台詞を喋っている話者が、”Tom”と言うのと同時に、離れたところにいるTom を手で指しているジェスチャーがあったとします。

こういう場合は、「それってトムのこと?」と訳すのではなく、「あなたが言ってるのってトム?」のように、トムという単語を最後に持ってきます。

そうすると、「トム」という単語が発せられるタイミングが画面のジェスチャーと合うので、台詞が自然に流れます。

1つ目の段階では、英語力が、

2つ目の段階では、日本語を工夫する力が問われます。


映像翻訳では、字幕では字数の制限がありますし、吹替えではリップシンクの制限があります。

その制限の中で、いかに日本語として自然で、分かり易い台詞を、かつ画面に合った台詞を工夫できるか。

そこが大事だと思います。

毎日毎日、ああでもないこうでもない、と迷いながら台詞を考える、地道な作業の繰り返し。

それでも台詞を考えるのは楽しいですよ!

さあ、
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