映像翻訳科|東北新社の学校だから力が身につく!
プロへの近道!
作品を存分に可愛がってください
土井くにこ 映画翻訳者
代表作/[吹替]…「ビルディング・インポッシブル」「スゴ腕どうぶつドクター」「ドリームホーム~模様替え大作戦~」「コーチ・スヌープ」「伝説の映画監督―ハリウッドと第二次世界大戦」他
映像メディアはとても幅広く、私は政治時事関連の翻訳からスタートしました。
そこで現代社会について実に多くを学びましたが、少しだけ疲れを感じていたある日、本屋さんで立ち読みしていた私の目に飛び込んできた「字幕翻訳」「吹替翻訳」の文字。「わぁ、何だか楽しそう。やってみようかなぁ」と。
こうして映像テクノアカデミアの生徒となり、授業でドラマや映画の素材を頂いた時には何だかワクワクした気分なりました。ただ、ワクワク気分はそこまで。実際お仕事を頂くようになると、厳しい現実が待ち受けていました。まず、今までの仕事との両立。そして、やっとの思いで仕上げた作品に向けられる厳しいご指摘…。
以来、日本語と英語の狭間で懸命に軸足を探りながらの葛藤が続いています。異なる歴史や文化を背負った言語で織り成される様々なドラマの本当の心をいかにして伝えるのか。大陸と島国では人間性も大きく違う。ということは物事の見方も変わってくるのです。わたしの専門であるドキュメンタリーで言えば、史実のとらえ方自体すでに温度差があります。では、その摺合せをどう行っていくのか。数の概念も同様です。a decade agoが10年前のこととは限らない、12~3年前のことかもしれない。それにも関わらず”a decade ago”と言い切る鷹揚さがあります。a couple of dozenは20余りか20~30か(24ではないですね)、より的確な訳出は何か。
英語の作品を深く紐解いていくほどに、伝えたい言葉はどんどん膨らんでいきます。活字媒体であればそれを流暢な日本語で自由に書き表せばいい。けれども映像翻訳には字数や尺など様々な制約がかかってくる。日本語の力が必要とされる最大の所以かもしれません。日本語の勝負!であることは確かですが、わかりやすく的確な日本語を生み出す力の根源にあるのはやはり原作を読み解く英語力です。
「名訳」より、いささか稚拙であっても「言っていることをそのまま」が好まれる傾向にある現代、翻訳とは何かがさらに広い角度から問われていくことになると思います。発信媒体もさらに多様化していくことになるでしょう。
そこで輝くのは皆さんの新鮮な感性!
「言葉」という摩訶不思議な生き物を相手に、涙ぐましい努力を重ね、時には格闘技を繰り広げ、時には軽やかなワルツをご一緒に。
さあ、Go to the mattresses!